- よく「ENTER MC BATTLE」の動画を見るけど、どういう大会なんだろう?
- 何となく韻踏が関係しているっぽいけどそうなの?
- SPOTLIGHTとは何か違うの?
このように思っている人は多いでしょう。
最近は全国各地でいろいろなMC BATTLEイベントが立ち上がり、盛り上がりを見せています。
しかしENTER MC BATTLEは、そのなかでも特に歴史が長く、重要な存在です。
本記事ではENTER MC BATTLEと、それに関連するSPOTLIGHTというイベントに関して解説します。
ENTERとは?
ENTERとは、HIP HOPユニットの韻踏合組合が定期的に開催しているMC BATTLEイベントのことです。正式にはENTER MC BATTLEと言います。
ほとんどの場合、大阪心斎橋周辺にて開催されます。
MC BATTLEに関心がある人たちにとって、ENTERは関西圏でもっとも大きな影響力を持っています。関西をレペゼンするラッパーからは登竜門的な位置付けです。
CIMAやミステリオなど、MC BATTLEの世界でトップクラスにいる関西勢も、ENTERから名を馳せました。
R-指定をはじめ、ふぁんくやKZ、Pekoやドイケンなど、梅田サイファーの面々も、同大会何度も出場しています。
その歴史は古く、確認できる限り初めての開催は2006年。若かりし頃のFORKやHIDA、メシア THE フライなどがしのぎを削っていました。呂布カルマ VS 田我流という、今では考えられないカードが実現したこともあります。
なおENTERは誰でも出場することが可能です。極端な話、昨日ラップを始めた人でも挑戦できます。
一方で、大阪を代表する有名なMCが参戦したり、他地方のレジェンドがゲスト出演したりすることも。最近でいえば輪入道がゲストとして呼ばれ、見事優勝を飾りました。
ENTERで好成績を収めると、後ほど解説するSPOTLIGHTへの出場権利が得られます。初出場でENTERを制覇し、あのDOTAMAと対決する、といった夢を叶えたMCもいます。
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ENTERはレベルが高い
比較的小規模なイベントであるENTERですが、大会自体のレベルは非常に高いです。
そもそも大阪(関西)は、梅田サイファーや韻踏合組合など、有名なHIP HOPユニットの地元。さらに上述したミステリオやCIMA、さらにはミメイやK-razyをはじめとした有力なラッパーを輩出した土地でもあります。アメ村はレゲエとHIP HOPの中心地。鶴橋という場所はCHEHONの出身地でもあります。
そういった背景もあり、HIP HOPとレゲエの文化が他地域と比較して一足早く進歩しているとされ、それにともないバトルもハイレベル。
関西人ならではの気性の荒さに、韻踏が開催するイベントらしくライムが織り混ざったバースが飛び交います。ニューカマーによる突上げも凄まじく、ビッグネームたちがあっさり倒されるなど、混戦模様です。
MC BATTLEを楽しみたい人にすれば、ENTERは非常に満足度の高いバトルを堪能できるイベントと言えるでしょう。出場を志望するラッパーにとっては自分の名前を挙げるチャンスであるとともに、自分自身を高める貴重な現場でもあります。
ENTERを見に行くには?
ENTERを見に行くには、とりあえず韻踏合組合のTwitterとInstagramをフォローしておきましょう。だいたいこれをフォローしておけば、ENTERの開催日をキャッチアップできます。
大抵の場合、大阪長堀橋にあるCOMPASSというライブハウスで開催されます。
これがどういう場所かというと、心斎橋(アメ村)から東に10分ほど歩いたところです。かなり便利な場所なので、アクセスには困らないでしょう。
ちなみにCOMPASSの近くには、2023年SPOTLIGHT出場者のレイジがカウンターに立つ「BAR RHYME」もあります。興味がある人に行ってみましょう。
ENTERのベストバウト
17年以上の歴史があるENTERでは、数多くのベストバウトが生み出されました。ここでは、特に評価が高い(再生回数の多い)試合に関して紹介します。
<2023年10月/輪入道 VS Laze 決勝2本目>
<2014年 CIMA VS R-指定>
<2018年7月 ミステリオ VS 呂布カルマ 決勝2本目>
14年近い歴史があるだけに、数多くのベストバウトが誕生しています。ぜひ他の試合もチェックして、自分自身に響くものを探してみましょう。
SPOTLIGHTとは?
(引用:株式会社STARBASE)
SPOTLIGHTは、ENTER同様に韻踏合組合が主催するMC BATTLEイベントです。ほとんどの場合、年末におこなわれます。
こちらはENTERとは違い、全国の有力MCを集めて行われます。そして上述したとおり、ENTERから這い上がってきた新生MCも出場することが可能。
近年ではレイジ、ブッダ、煩悩などといった面々がENTERから勝ち上がり、そしてSPOTLIGHTのステージを経験しています。
またSPOTLIGHTには「関西びいき」が見受けられず、フェアに判定される側面があります。見にきている層が「MC BATTLEが好きな人たち」であり、何も関西勢が勝つばかりを強く望んでいるわけでないからでしょう。
上述したように大阪は国内でもっともHIP HOP文化が進んだエリアのひとつであり、客質も高めです。それもSPOTLIGHTの魅力や完成度を高めることにつながっています。
SPOTLIGHTは、(近年に限って言えば)味園ユニバースかZepp Osaka Baysideで行われます。Zeppはキャパ2530人と相当大きな会場です。
近年はMC BATTLE人気の高まりからイベント自体の需要が高まっており、今後は戦極や凱旋などと同様の規模感で開催されるようになるかもしれません。
なおSPOTLIGHT優勝者には、年末におこなわれるKING OF KINGSの本戦出場権が与えられます。
SPOTLIGHTに出場するには?
SPOTLIGHTに出場することは不可能、のように思われるかもしれません。たしかに簡単ではありませんが、ENTERにおいて年間成績で上位3位に入れば、SPOTLIGHTに出場できます。
ただこの条件に関する情報が錯綜しており、ある日のENTERでトーナメント上位3位に入ればよい、と解釈できる情報もありました。年度によって条件が異なるのかもしれません。
いずれにせよ無名のMCでも、ENTERを経由してSPOTLIGHTに出場することは可能です。
大阪では有名なRYOというMCがいますが、彼はENTERから這い上がり、SPOTLIGHTでは韻マン、TKda黒ぶち、ふぁんくを破りベスト4まで進出。以来、全国的なイベントに出場するようになりました。
SPOTLIGHTのベストバウト
ENTER同様に歴史が深いSPOTLIGHTでは、数多くのベストバウトが誕生しています。
<2019年 Authority VS CIMA 決勝一本目>
<2019年 Ryo VS 韻マン>
<2023年 ミメイ VS Zeal>
SPOTLIGHTには、関西屈指のMC BATTLEイベントと知られています。また全国から猛者が集まるため、そのレベルは非常に高いです。
今後もさらに多くのベストバウトが生まれることでしょう。
SPOTLIGHTの歴代優勝者
- 2009年:R-指定
- 2010年:peko
- 2012年:SURRY
- 2015年:呂布カルマ
- 2016年:裂固
- 2017年:MOL53
- 2018年:呂布カルマ
- 2019年:Authority
- 2020年:輪入道
- 2021年:MC☆ニガリa.k.a赤い稲妻
- 2022年:MOL53
まとめ
本記事では、ENTER MC BATTLEとSPOTLIGHTに関して解説しました。
ENTERは小さなライブハウスで開催される小規模なイベント、SPOTLIGHTが有名MCが集うオールスター戦かつ、ENTERから成り上がったMCたちのチャレンジシーンといった位置付けです。
MCにとっては、ENTERは、腕を磨き、SPOTLIGHTという晴れ舞台に立つための登竜門になります。さらにそこで優勝すればKOK出場です。
ヘッズからすれば、大阪というHIP HOPシーン中心部でしのぎを削るMCたちの良質なMC BATTLEを楽しめるイベントです。
ぜひENTER MC BATTLEに注目してみましょう。