クールな立ち振るまいと格好いいライミングで注目を集めるラッパー・バチスタ。
戦国MCBATTLEや凱旋MCBATTLEで彼を知って、「すごい!」と思った人も多いのではないでしょうか?
またTERUや空音とのビーフについて気になっている人もいるかもしれません。
本記事ではは以下の点を解説します。
- ラッパー・バチスタの基本情報
- TERUや空音とのビーフについて
- ラッパー・バチスタのバトル
バチスタのことは、本記事を読めばほとんどわかるはずです。
彼のことが気になる人はぜひ参考にしてください。
<ざっくり言うと?>
バチスタは横浜出身のラッパー
ライミング・クールな立ち振るまいが魅力
TERU・空音とはかなり険悪な雰囲気になって揉めた
音源の最新リリースは「thanks a million」
一番有名なアルバムは「Method」
ラッパー・バチスタの基本情報
まずはラッパー・バチスタの基本情報について解説します。
- 名前:バチスタ(音源名義はBCST)
- 年齢:25歳(2022年現在)
- レペゼン:神奈川県
- 所属レーベル:Per Life(SAM主催)
バチスタはあまり情報を公開するタイプではなく、基本的なプロフィールすら謎に包まれています。
しかしバトルの動画や音源、Twitterを遡っていくと、ある程度これまでの経歴や生い立ちが見えてきました。
バチスタこれまでの経歴。生い立ちは?
バチスタは神奈川レペゼンのMC。
高校生ラップ選手権などには縁がなく、決してスター性のある人物ではありません。
しかしMCバトルでプロップスを積み上げ現在の地位を築き上げた、典型的な現場叩き上げタイプのMCです。
彼が表舞台に出てきたのは2019年ごろ。
戦極や凱旋などの大きなイベントで、がーどまんやミメイなどと死闘を繰り広げ知名度を獲得。
その後もMCバトルでは最前線で活躍、またSAM率いるレーベルPer Lifeの一員としても精力的に活動しています。
私生活では、少なくとも2021年ごろまではSAMらと同居していた様子。
2022年もおそらく一緒に暮らしています。
ややルーズな側面があって、SAMからは「寝バックレする」などと言われていたり。
また晋平太がバチスタやSAMの家を訪れたときは色々とイジられるなど、可愛げのある一面も見せています。
バチスタのInstagramとTwitter
バチスタはInstagramとTwitter両方公開しています。
Instagram:bacista_mic
Twitter:bcstinged
空音・TERUとのビーフ(揉め事)について
最近のMCバトルでは、あまり過激なラッパー同士の揉め事は起こらないものです。
しかしバチスタは空音・TERUを相手取って、近年珍しい本格的なビーフを繰り広げました。
バチスタ本人も、どちらかといえば温厚なタイプで、あえて揉めるような人ではありません。
ことの発端は空音が新しいアルバムを出したこと。
そこで彼は「HIPHOPではなくても、曲をアートとして評価して欲しい」といったニュアンスをツイートしました。
バチスタはリプライしない形ではありますが、以下のようにツイート。
https://twitter.com/bcstinged/status/1178861418541539328誰の何を、とは言ってはいませんが、どう考えても空音のことを指しています。
上記ツイートに対して、空音ではなくTERUが反応。
そのリプライは削除されていますが、要するに空音を擁護し、バチスタには反対意見を述べました。
バチスタはその後も「プロモーションの中で”HIP-HOP”じゃなくていいというのは嫌いだ」とリプライ。
Twitter上では決着がつかず、TERUとバチスタがお互いをDISる曲を公表する原始的なビーフに発展します。
いったいどんなケンカが見られるのか、と筆者はワクワクしました。
しかし最終的には当事者間で決着がついたらしく、バチスタは以下のツイートを投稿。
https://twitter.com/bcstinged/status/1183960206578835457シンプルに格好いい曲です。
この投稿以後TERUや空音も反応を示さず、ビーフは静かに決着しました。
ここからあくまでも筆者の主観ですが、バチスタが言っていることは間違っていません。
彼が言いたいのはおそらく「ラッパーが自分の曲についてHIP-HOPじゃなくていいと言ったら、HIP-HOPでもラッパーでもない」ということです。
これはバチスタなりのHIP-HOPで何も間違っていません。
もちろん空音が「HIP-HOPでなくてもいい、アートとして評価して欲しい」という主張も正当(HIP-HOPとしてではなく、アートとしても見て欲しいというのはクリエイトしたアーティストとして当然の欲求)。
空音のためにリスクを背負って出てきたTERUは格好いいし、誰も悪くありません。
ただバチスタと空音の中で「何がHIP-HOPを構成する要件なのか」でズレがあり、その考え方が擦り合わなかったというのが事態の本質です。
ラッパー・バチスタのバトルについて
ラッパーとしてのバチスタは、基本的にMCバトルで広く活躍しています。
凱旋や戦極、果てはフリースタイルダンジョンと、大きな大会やメディアにて大活躍。
さらに好成績を収めています。
ここでは、
- バチスタのバトルスタイル
- 彼が残したベストバウト
について詳しく解説します。
バチスタのバトルスタイル
バチスタのバトルスタイルの特徴は大きく分けて3つあります。
- ストイックに韻を踏む姿勢
- クールなアティテュード
- 対話もできる
最大の特徴はやはりストイックな韻へのこだわりで、ライマーとしては全国トップクラスです。
彼独特の単語で踏むのが特徴で、「出発点から終着点、スーパープレーのさらに数段上」など、あまり他のラッパーが踏まない言葉でライムします。
また韻のストックも膨大で、何か単語ひとつ拾われたら最後、4〜5回くらい軽くライムしたうえで踏み潰されるのは日常茶飯事。
もちろん即興で踏み返す力も持っており、「ネタ」とは言わせないのが強みです。
クールなアティテュードもバチスタの魅力。
声を荒げることなく、憮然とした態度で、さらに落ち着いたローボイスには玄人好みの渋みがあります。
HIP-HOPには強いこだわりがあり、「お前はJ-POPにしかすぎない」などとピリピリしたDisを吐くのも特徴です。
また「バースのレベルが小中学生」などと、相手の尊厳を踏みにじるようなフレージングも魅力。
そして韻がなくても対話でも勝負できるのがバチスタのラッパーとしての奥深さです。
たとえば相手が「主催者に迷惑をかけるな」と言ってきたら、「それは主催者と俺の問題だから、お前が首を突っ込んでくるな」というふうに、きちんと理屈を通したりします。
頭の回転が速く、そして言うことにも筋が通っていて、聞いている側も「それはそうだな」と思わざるを得ない説得力があります。
筆者も書きながら感じたのですが、彼はもともと高い素質を持っていて、しかもしっかりと努力できる人です。
バチスタには「ものごとを筋道立てて考える」という脳力が備わっており、それがバトルでは対話力としてあらわれています。
また即興で韻を踏み返したり、アンサーしたりと、頭の回転も早めです。
そして膨大な韻を研究して自分のものにするなども鍛錬も怠ってはいません。
筆者もラッパーですが、相当な練習をしないと本番であれだけ韻は踏めないのです。
【補足】バチスタが踏んだ韻でとびきりエグいものを厳選
バチスタのラッパーとしての魅力と言えばライミングですが、これは書き起こさないとエグさが伝わりません。
筆者が食らった韻について、ざっとまとめてみます。
- 出発点から終着点までスーパープレーのさらに数段上 こんな胡散臭せぇやつは銃殺刑バースのレベルが小中学生
- 俺は意識高く敷居またぐ意地汚く死にさらす律儀なやつ 俺がラップすれば0も1に変わるその1ってのが王座の位置に変わる
- 俺は今でも楽しくサイファーのガキ でもイケてる言葉が溢れ出るナイアガラの滝
- Wack MCいただきます 努力と気合のギアが違う
- 何か疲れてる俺はラップの神様に取り憑かれてる
- 俺の脳みそのコンディションは超異常でどうしよう
- 空は晴れ渡る処刑の時刻の鐘が鳴る
- 山あり谷ありの長旅の始まり
- ここは鬼ヶ島 戦う時が来た鬼のふりして負けるのがお似合いだ
- 全く何言ってるのかがわからない 俺の肩慣らしにもならないし馬鹿馬鹿しい こいつは空回り俺は勝って仲間たちと高笑い
韻を踏んでいるのは前提として、相手への殺意だったり、自分の生き様だったりがよく現れています。
バチスタのベストバウト
バチスタのベストバウトは、大きく分けて3つあります。
凱旋MC BATTLE東西選抜春ノ陣2019 バチスタ VS がーどまん - ADDVANCE STARTOURS決勝 バチスタ VS がーどまん
凱旋MC ATTLE 東西選抜夏ノ陣2019 バチスタ VS BASE
2019年から頭角を表したバチスタ。
同年にはYouTubeで何百万回も再生されるようなえげつないベストバウトがたくさん眠っていました。
ADDVANCE STARTOURS 決勝 バチスタ VS がーどまん
俺のDISはそれよりもエグいぜ
最後のバースの後半4小節はネタですが、ネタかどうかなんてどうでもよいほどの完成度。
たった数秒で、出発点/終着点/スーパープレー/数段上/胡散クセェ/中学生と、意味を繋げながら踏んでがーどまんを圧倒。
そしてこれだけストイックに韻を踏むMCは現在では珍しく、ヘッズには衝撃を持って受け止められました。
どんなMCにも「売れるきっかけになったバトル」というのがありますが、バチスタにとってはこの試合がターニングポイント。
さらに割とプロップスが大きいがーどまんをクールにいなしたのも、人気を集めるきっかけとなりました。
ADDVANCE STARTOURS 決勝 バチスタ VS がーどまん
From横浜落とすlike a 大魔神佐々木
先述の凱旋MC battle東西選抜春ノ陣2019で倒したがーどまんとの再戦、リベンジに燃える彼を迎え撃ちました。
- 「ドッキリのやりすぎてステージの上で何がリアルか見失ってんじゃねえか?」
- 「ナイアガラの滝→サイファーのガキ→大魔神佐々木」
など、バチスタでしかありえないライミングも光りました。
ちなみに彼は横浜出身なので「大魔神佐々木(横浜ベイスターズの元投手)」ははっきりと意味が通ります。
ただしこの試合、延長の末に勝ったのはがーどまんでした。
彼から「お前は即興で踏んでない、俺はトップオブザヘッドで踏んでいる」と言われたのが刺さっています。
とは言えそこまでのパフォーマンスが素晴らしく(がーどまんの調子が良すぎた)、ベストバウトの一つと数えられるでしょう。
凱旋MC battle東西選抜夏ノ陣2019 バチスタ VS BASE
俺がポテチ大好きって言ってるのと何にも変・わ・ら・な・い♪
最後に紹介するのは2019年凱旋、BASEとのマッチアップです。
バチスタはバトルをやっている筆者の身から想像すると、何がどう効くのかよくわからない相手。
ここではブレずに「鼻からコカイン/頭がおかしい/神奈川育ち/ハナからお遊び/棚から牡丹餅」など、量より質という言葉がバカらしくなる量のライムで畳みかけます。
さらに「死に物狂い/いいごとづくし」など完成度高めの韻も落としつつ、さらには「大麻・薬物が好き」というBASEに「それは俺がポテチ好きって言ってるのと何にも変わらない」と対話。
ライムとアンサーでぶん殴り、そこそこフロウもキープして全体的にBASEを上回りました。
凱旋MC BATTLEは注目度が非常に高く、ここで何度か勝利した彼は一気にプロップスを高めています。
バチスタ(BCST)の音源について
バチスタは2019年ごろから多数の音源を発表しています。
もっとも有名なのは2020年にリリースされた「Method」。
バトルスタイル同様、渋みのソリッドなナンバーです。
この頃はまだ20歳から21歳ですが、年齢離れした貫禄を感じさせられます。
ちなみに、最新リリースは2022年のthanks a million。
24歳の誕生日を迎えた頃、周囲の中への「100万ドルに匹敵する感謝を伝える」というテーマでリリースされました。
今回はシンガロングが入った落ち着きのある曲です。
彼のバックボーンや考えていること、普段はクールながらも仲間思いな一面がはっきりと現れています。
まとめ
近年のHIP-HOPとバトルシーンには、いわゆるアイドルラッパーがたくさん出てくる、とか言われるようになりました。
本当にアイドルをやっている女子も出てきて、良くも悪くもカオスです。
しかしバチスタは近年でも珍しい、堅実なスキルと渋さを兼ね備えたラッパー。
何かキラキラし始めたシーンの中、彼の存在を知って「これだよこれ!」なんてことを思った人も多いでしょう。
バトルでは強固なライミングとクールなアティテュード、そして対話力でガッチリとぶつかります。
音源ではソリッドなサウンドをベースにしつつも仲間思いな一面を感じさせたりと表情豊か。
ぜひこれからのバチスタの活躍に注目しましょう。
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