医療大麻が日本で合法化される日は来るのか? 海外ではどうなっている?

近年では、「医療大麻」という言葉が、少しずつ聞かれるようになりました。

名前のとおり、医療の現場で用いられる大麻です。

すでに高い効果とすぐれた安全性を持っているということが判明しており、注目が集まっています。

 

にもかかわらず、日本では、医療大麻は違法とされています。

なぜこれほど有効なものなのに、合法化されないのか?」という疑問を抱えている人もいるでしょう。

また、医療大麻による治療を熱望している人にとっては、たいへんもどかしい問題でもあります。

 

本記事では、日本での医療大麻の合法化について、詳しく解説します。

目次

日本での医療大麻の合法化、現状は?

大麻と医療器具

結論から言えば、日本において医療大麻が合法化される見通しは、ほとんど立っていません。

国会で改正について議論される機会もなく、そもそも「合法化(≒大麻取締法の改正)」を主張する弁士がほとんどいません。

いつになれば、日本において医療大麻は合法化されるのか?

法律書

上記のとおり、残念ながら「いつ合法化される」、という目処は立っていません。

ただひとつ言えるのは、少なくとも2,3年ぐらいで、いきなり合法化されることはまずあり得ないということです。

これは、日本における過去の法改正が成立するまで掛けられた年数から、ある程度推測できるから言えることです。

 

大麻取締法は、厚生労働省が管轄している法律です。

そして厚生労働省(厳密に言えば国会)は、WHOの声明や決定を追随するようなかたちで、法改正するスタンスに終始しています。

つまりWHOが医療大麻に対して態度を軟化させれば、日本の大麻取締法も改正されると考えられるわけです。

 

実はすでに、WHOは、ここ数年で医療大麻に対してポジティブな声明や決定をいくつも出しています。

つまり、WHOの示しに沿って法改正、ようするに医療大麻が合法化される流れ自体はあるわけです。

 

アメリカが医療大麻の合法化に対して積極的なのも好材料です。

理由は、日本がアメリカの法改正を追従する傾向にあるから。

 

ただしこれだけの材料が揃っていても、合法化へ至るまでは、過去の例から考えれば5,6年はかかります。

また、識者によっては10年以上かかる、というような見方も示しています。

ただ、具体的な年数の予測については、識者や団体次第でさまざまです。

 

わざわざ前例を無視して、合法化に急ぐ材料は見当たりません。

医療大麻の合法化を心待ちにしている人にとっては厳しいことですが、しばらく時間はかかります。

なぜ日本では、医療大麻の合法化が遅れているのか?

時計

合法化が遅れる要因は、いくつかあります。

主に以下のような要因が、合法化を著しく阻害しています。

法律の強固さ

まず、日本の大麻取締法が強固すぎる、という点が挙げられます。

医療大麻そのものが禁止されているのはもちろん、所持や栽培も認められていません。

所持や栽培は、たとえ目的が研究や臨床実験であったとしても違法となります。

 

この強固さが、医療大麻の合法化を著しく妨げています。

なぜなら研究できないことは、医療大麻が持つ有用性の認知を遅らせるから。

したがって医療大麻について考察を深める余地がなく、合法化へ向けた動きも低減されています。

 

世界各国と比べて罰則が重いのというところにも、法律の強固さが表れています。

最長で懲役7年の刑に処される可能性があり、かなりの重罰です。

業界の思惑?

確固たる証拠はありませんが、一部業界の思惑によって、合法化が遅れているという見解もあります。

一部業界とは、おおむね医薬品・タバコ・アルコール飲料を指しています。

 

まず医薬品業界が医療大麻の合法化に反発する動機は、じゅうぶん過ぎるほどあると言えるでしょう。

医療大麻が合法化され、医療現場で用いられるようになれば、既存の医薬品への需要は落ち込んでしまいます。

 

また、今後も医療大麻の持つ優れた効能を意識しながら、製薬に取り組まなければいけません。

つまり医療大麻は、医薬品会社をおびやかす存在というわけです。

 

 

医薬品会社は、ジェネリック(※1)薬品にすらマイナスプロモーションを掛けていると言われています。

そういった側面を考えると、医療大麻に対して否定的なスタンスであり続ける可能性は、じゅうぶんあり得ます。

医薬品会社と国会に何らかのパイプがあり、合法化しないようにコントロールしている、とも見られなくはありません。

 

タバコ・アルコール飲料業界については、一見まったく関係がないように見えます。

しかし、医療大麻が普及すると、タバコ・アルコール飲料の需要は下がると予測されています。

医療大麻が、タバコ・アルコール飲料への依存度を下げる治療に使われると見込まれるからです。

 

また、医療大麻を合法化すると、娯楽大麻へのニーズも高まると予測されます。

もちろんタバコ・アルコール飲料へのニーズと引き換えに、です。

したがって両業界も、できれば医療大麻の合法化は避けたい(遅らせたい)はずなのです。

 

というような一部業界の思惑によって、合法化がスムーズに進まないとも考えられます。

※1:後発薬。既存の医薬品を模倣して製薬しているため、同じ成分でできている。

研究費がかからないため、既存の医薬品よりも安価で提供できる。

ジェネリックが広がると、自社の医薬品ニーズは縮小するため、「ジェネリックは危険」ということを喧伝していると考えられている。

(参考:Business Journal

大麻に対する抵抗感

また、日本自体が、大麻に対して強い抵抗を持っていることも一因です。

日本は、歴史上、「大麻草」との関わりを深く持たなかった国です。

大麻を娯楽的に吸うこともしてこなかったし、ましてや医療的な用途で用いることはほとんどありませんでした。

 

大麻の有効性を知らずに、今日まで歴史を歩んできたわけです。

したがって、日本は、諸外国と比べて大麻への需要が弱い国であるというわけです。

 

さらに、大麻に対しては、国がネガティブな情報を提供しています。

「ダメ、絶対」というフレーズを用いて、大麻の危険性について(必要以上に)アピールしています。

需要がないどころか、むしろ大麻に対して、危険であると考える論調も強いわけです。

 

すでに医療大麻が合法となっている国は、「大麻草」に対して抵抗を強く持っていない側面もありました。

娯楽大麻が安全なのだから、医療大麻はより安全なはずである」というわけです。

ましてや日本のように、必要以上に危険だという認識もありません。

だからこそ、スムーズに合法化できているわけです。

 

しかし日本特有の、大麻に対する強い抵抗感は、合法化を著しく阻害しています。

医療大麻の合法化を求める動き

拡声器

わずかながら、医療大麻の合法化を求める動きがあります。

「日本国医療大麻合法化活動団体」や「医療大麻を考える会」など、いくつかの団体が合法化を訴えています。

ただし、決して大規模な活動は見られません。

 

また、大麻そのものの有用性を訴えている女優である高木紗耶が、合法化を目指して選挙に出馬するなどしています。

とはいえ圧倒的大差を付けられた上で落選しており、その影響も微々たるものでした。

 

というように、合法化を求める動きは、あくまでも小さいレベルにとどまっています。

今後、医療大麻の合法化を求める声が、どれだけ拡大するかという点も重要となってくるでしょう。

海外での医療大麻の合法化について

医療大麻 液状

上述でも触れましたが、海外では医療大麻が続々と合法化されています。

現在では30か国以上で、医療大麻が使われるようになりました。

 

特にアメリカやスペインなど、元々大麻に対して比較的寛容な国は、かなりのスピードで医療大麻を合法化しています。

カリフォルニア州は、1996年の段階で、医療大麻を合法化しています。

アジアでは韓国やタイ、フィリピンなどが合法化を実現。

 

あまり大麻と関連性がなさそうな中東でも、イスラエルでは医療大麻が普及しています。

ちなみにイスラエルは、古くから医療大麻に対してかなり研究を進めています。

THCCBDの存在がわかったのは、イスラエルの挙げた研究成果です。

現在もフランスやロシアなどの先進国が、医療大麻合法化に向けて動いています(2020年2月現在)。

まとめ

大麻草

日本においては、医療大麻への理解が、あまり進んでいません。

元々から大麻への関心が薄いうえ、「大麻は危ない」という認知が広まっています。

その他の要因も絡み、早期での合法化はかなり難しい状況です。

 

海外と比較すると明らかで、日本は医療大麻の分野にて、先進国から置き去りにされたような側面すら見受けられます。

一例として、1996年から医療大麻を認めているアメリカとは、大きな差が生じています。

とはいえ、日本でも医療大麻が合法化される可能性はじゅうぶんにあります。

識者によっては「時間の問題」と語ることも。

 

世界各国の動きや合法化を求める活動レベルによっては、よりスムーズなかたちで、医療大麻の普及が始まるかもしれません。

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