大麻については、「後遺症」を原因とした症状が懸念されます。
多くの人が、後遺症についてはなんらかの不安を抱えているでしょう。
とはいえ、
「具体的にどんな後遺症があるのか?」
「後遺症はすぐに治せるのか?」
というような疑問を抱えている人は多いはずです。
本記事では、大麻による後遺症の症状や治療について解説します。
大麻を楽しむ、健康であり続けるうえで、たいへん重要なトピックです。
是非、一読しておいてください。
大麻による後遺症、「大麻精神病」の症状について
たいへん稀なケースですが、長く大麻を吸い続けていると、「大麻精神病」という後遺症になる可能性があります。
これは大麻を常用している人にだけ、起こり得る後遺症です。
まずは大麻精神病についておさえておきましょう。
具体的な症状
大麻精神病の症状は、個人差が大きく、多岐に渡ります。
具体的には、以下のような症状が起こりうるとされています。
- 幻覚
- 被害妄想
- パラノイア
- 視覚の歪み
- 聴覚の歪み
- 不安感
- 眠気
- 無動機(やる気が出なくなる)etc…
というように大麻精神病の症状はさまざまです。
上記のように列挙してみると、たいへん恐ろしい後遺症に感じられるかもしれません。
しかし、実のところさほど怖いものではありません。
なぜならこういった症状は、数日経てばおさまるからです。
たしかに大麻精神病の症状は、場合によっては強烈で、日常生活を困難にします。
ですが、症状に永続性はなく、大麻自体も依存性をほとんど持ちません。
大麻による後遺症の症状は、たかだかこれくらいのものなのです。
ちなみに一般的には「大麻を摂取すると、後遺症で長く苦しむ」というような誘導がなされます。
しかし実のところ、こういった主張には有効なエビデンスがありません。
(参考:DSM)
発症可能性
大麻精神病については、発症可能性が明らかにはなっていません。
ただし「発症率が高い」というような報告は見当たらず、少なくとも特段の警戒が必要なほどの確率ではないと考えられます。
若年層が大麻を吸い続けると、後遺症の症状が出る?
というように大麻の後遺症は、さほど大きなものとは言えません。
しかし若年層が大麻を摂取することには、かなり大きな懸念が残ります。
厳密に言えば「後遺症」とは呼べませんが、身体的・精神的な弊害が残る可能性はあります。
当メディアとしては、基本的に「大麻はさほど危険ではない」というスタンスを取っており、またそのエビデンスも確固たるものです。
しかしこと若年層が大麻を摂取することには、以下のようなリスクがあるということについて言及せざるをえません。
うつ病との相関性
若年層が大麻を摂取することと、うつ病には、深い関わりが存在します。
一言で言えば、「10代が大麻を習慣的に摂取しているなら、将来的にうつ病となるリスクが、5倍異常となる」という言われています。
(参考: Royal College of Psychiatrists)
ただしこのデータは、「大麻以外の、うつ病になるファクターを除外できていない」という側面があります。
大麻を吸えるような「生活様式」に問題がある、という見方もあります。
統合失調症との相関性
統合失調症との相関性も、決して無視できません。
10代で大麻を恒常的に摂取していた場合、成人したのち、統合失調症へかかるリスクは数倍になると考えられています。
統合失調症は、かなり症状の重い精神病です。
重度であれば、「ベッドから下りることすらままならない」というケースもあります。
なぜ大麻を摂取すると統合失調症になりやすいのか、詳しいメカニズムは解明されていません。
しかしメカニズムが分からずとも、データは統合失調症のリスク向上を明らかに示唆しています。
(参考: Royal College of Psychiatrists)
脳機能への弊害
身体的な面で言えば、「大麻が脳機能の成長を阻害する」というリスクが存在します。
ある意味で「後遺症」とも呼べるでしょう。
人間の脳は、0歳から26歳までにかけて成長します。
通常であれば脳は、年齢と比例して、
- 判断能力
- 推論能力
- 空間把握能力
- 自制心
などを高い次元で獲得していくものです。
しかし10代のころに大麻を摂取すると、これらの能力が正しく発達しません。
いずれも社会生活の安定、対人関係を構築することにおいて、重要な能力です。
つまり若年層から大麻を頻繁に吸っていると、脳機能にダメージが入り、ハンデを背負うリスクもあるというわけです。
すでに脳が成熟しきっている年齢で大麻を楽しむことには、大きな問題はないでしょう。
しかし脳という人間にとって最重要な器官が弱体化するというリスクは、全若年層にとって重すぎます。
(参考:AFPBB News)
依存症へのリスク
大麻の依存性は、きわめて低いことが知られています。
しかし若年層にとっては、依存性も無視できないものです。
国立薬物乱用研究所の調査によれば、「10代から大麻を吸っている人のうち、17%が依存傾向にある」とのことです。
またABAMのデーモン・ラスキン博士によれば、「若年層は成人よりも、2倍ほど大麻に依存しやすくなる」、とのこと。
本来であれば大麻は、「渇望するほど吸いたくなる」というものではありません。
しかし依存が形成されると、別に吸うメリットはなくとも、生理的な欲求を満たすために吸うようになります。
関連:大麻がもたらす作用とは? 副作用などはあるのか? 徹底解説します
大麻から薬物へシフトしてはいけない
何よりも重要なのは、「大麻から薬物へシフトしてはいけない」ということです。
ここで言う薬物とは、コカインやヘロイン、合成麻薬などの「ハードドラッグ」を指します。
大麻とハードドラッグには、健康上のリスクにおいて雲泥の差があります。
大麻を吸っている場合は、(若年層のケースは別として)、重大な問題が発生する可能性は、さほど高くありません。
先ほども触れたとおり、大の大人が吸っているかぎり、後遺症は大したものではありません。
しかし、ハードドラッグは違います。
ハードドラッグは強烈な依存性と副作用を持っており、一度摂取すると簡単には脱却できません。
このあたりは、世間一般で言われる「ドラッグの危険性」と同じことです。
合成麻薬「MDMA」を例として考えてみましょう。
MDMAは、現在において日本で広くまん延しているものです。
女優の沢尻エリカが所持逮捕されたことでも知られています。
MDMAを摂取すると、
- 精神的高揚
- 多幸感
- 落ち着き、安心感
といったものが、強烈に引き起こされます。
ドーパミンやセロトニンを無理やりに分泌することで、こういった作用が起こります。
一方で、
- 依存性が高く、すぐにハマってしまう
- 過剰摂取で致死性を持つ
- 不純物が多く、想定外の成分を含むケースもある
- 攻撃性、易怒性を持つ
というような副作用が起こるということは避けられません。
もっとも重要なのは、「依存性が高い」ということ。
一度MDMAに手を出すと、延々と「MDMAを欲しい」と考えるようになります。
そしてMDMAを繰り返し使っている中で「低ナトリウム血症」などを患い、死に至るというのが、もっとも危惧されるパターンです。
大麻には、MDMAほどの依存性がありません。
そして副作用も軽微なものです。
しかし大麻を「ゲートウェイドラッグ」として、他の薬物へ手を出すのは、絶対に避けなければいけません。
大麻と他の薬物では、まるで事情が違います。
そもそも大麻とは何なのか、おさえておこう
というように大麻を摂取することには、状況次第で大きなリスクが伴います。
しかし大麻の後遺症による症状以前にも、「大麻が何なのかわからない」という人もいるでしょう。
一度ここで大麻の基礎的な知識を振り返っておきましょう。
植物として
大麻が根本的に何かと言うと、一言で言えば「麻(アサ)」という植物です。
通常、麻は、衣服などの原材料として利用されます。
しかし大麻の葉っぱには、「カンナビノイド」と呼ばれる成分が含まれています。
カンナビノイドは、いわゆる「ハイになる」とか、「楽しくなる」という効果をもたらすものです。
この葉っぱを乾燥させたり、樹脂として固めたものが、「大麻」と呼ばれます。
大麻が使われる理由
大麻が使われている理由は、さまざま存在します。
もっともポピュラーな理由としては、「使うと楽しくなれるから」というものです。
いわゆる嗜好大麻としての在り方です。
しかし大麻が使われる理由は、それだけではありません。
- 宗教的・文化的信仰により、神聖なものとして「供えられる」
- 医療品として使われる
- 難病治療のため、研究材料として使われる
といったケースも存在します。
法的な位置付け
日本において大麻は、「所持・売買・栽培・輸出入」が規制されています。
宗教的、あるいは文化的、医療的な目的での仕様さえ認められていません。
しかし海外においては、カナダやウルグアイが完全合法としています。
その他G20加盟国も含めて、世界中各国が部分的に大麻を解禁しています。
まとめ
大麻を摂取することによる後遺症の症状は、さほど大きなものではありません。
そもそも後遺症が生じない、生じたとしても数日で寛解するという規模感です。
さも「大麻の後遺症症状で廃人になる」というようなことが喧伝されていますが、それを裏付けられるエビデンスは見受けられません。
ただし、若年層については、かなりのリスクがあると言わざるを得ません。
すでに若年層、特に10代では、大麻を吸うと相当な危険があると判明しています。
少なくとも脳が発達を終える25〜26歳になるまでは、吸うべきではないでしょう。