2010年ごろから、「脱法ハーブ」というものが登場しました。
非常に危険なものではありますが、日本では若者を中心として、いまだ一定の需要が存在します。
しかし脱法ハーブは、大麻などと違ってたいへん危険なものです。
脱法ハーブを吸うことで人生が台無しになった、あるいは重大な怪我や精神障害を患うようになった人は大勢います。
本記事では脱法ハーブの概要や危険性などについて、詳しく解説します。
そもそも脱法ハーブとは?
脱法ハーブとは、一言で言えば「法律で規制されていない、人工的の麻薬」といったところです。
とにかく法律に触れないというところが重要視され、アンダーグラウンドな領域で摂取されています。
脱法ハーブは、2000年代中頃のドイツや英国などで見かけられるようになりました。
いわゆる「人工カンナビノイド」を含んだものであり、早い段階から危険視されています。
日本では、2010年ごろから流通するようになりました。
大麻が違法だとされている日本では、脱法ハーブはある程度歓迎されてしまったのです。
違法ではないことから取締るのが難しく、インターネットや実店舗などで、当たり前のように販売されていました。
筆者も神戸市三宮近辺のライブハウス界隈を歩いていたところ、脱法ハーブ専門店を目撃したことがあります。
とても危険な脱法ハーブ、使ったらどんな症状が出る?
脱法ハーブには、重大な危険がいくつも存在します。
目立ったところで言えば、以下のようなものが挙げられるでしょう。
体調に異常をきたす場合がある
脱法ハーブは、時として重大な体調の異常を引き起こします。
具体的には、
- 錯乱
- 嘔吐
- 意識が朦朧とする
- なんらかの機能が一時的に低下する
- 疲労感
- 倦怠感
などが挙げられます。
これらの症状が複数同時に起こることもあり、たいへん苦しい体験です。
もちろん向精神作用などもあるので、「気持ち良くなる」「楽しくなる」という効果もあります。
ただしこれこそが最大の危険であり、後述するように依存性を形成しうるものです。
異常行動を始める
また、下手すれば命を落としかねない、異常な行動に出るケースもあります。
人気ロックバンド「andy mori」のフロントマン、小山田壮平が、脱法ハーブによる異常行動をたびたび起こしていました。
この騒動をきっかけに、「脱法ハーブを吸うと、異常行動に出る」ということが知られるようになります。
小山田は脱法ハーブを吸うことで、
- 河川に飛び込み、複数箇所を骨折する
- ホテル内で暴れ回り、警察に逮捕される
というような行動に至りました。
河川に飛び込んだケースでは、一度は集中治療室へ運び込まれています。
(参考:rockin’on.com、日刊スポーツ)
ちなみに度重なる騒動の結果、andy moriはツアー中止、そして解散という道を辿ります。
というように脱法ハーブを摂取することで、常識では考えられない異常行動へ出るケースがあります。
その他一般人によるものであれば、
- 脱法ハーブを摂取した状態で運転し、歩行者を死傷させる
- 小学校に入り込み、女子生徒を追いかけ回し、怪我を追わせる
- 路上にて女性を刺殺する(所持品から脱法ハーブが見つかる)
というようなケースも存在します。
体に異常をきたすだけではなく、犯罪へ走りうるのがおそしいところ。
賠償金や慰謝料の支払い、そして前科、非常に厳しい現実が待っています。
また、人の命を奪ってしまう、最悪なケースへ至ることも。
というような形で、大きなものを失ってしまいかねないのです。
幻覚や幻聴が表れる効果
さら、に幻覚や幻聴が訪れることもあります。
幻覚や幻聴を体験していること自体が危険ですが、それに導かれて危険な行動へ移るケースも。
幻覚や幻聴のあり方はさまざま。
- 誰かが自分を襲ってくる
- 誰もいないはずのに、楽しそうな声が聞こえる
- 人間の顔が、何かおぞましいものとして見えるetc…
ラッパーの呂布カルマも、かつて脱法ハーブに近いものを吸引し、幻覚を体験したとのこと。
本人は、「魂が抜けて、自分の体を俯瞰して見ていて、『あ、俺死んだんだな』と思った」と述べています。
(参考:YouTube)
彼の場合は友人が助けてくれたのですが、助けもなく、さらに危険な状態へ陥る可能性もありました。
呂布カルマはその後、脱法ハーブを辞めています。
ラッパーのように薬物に近しい場所で活動している人でさえも、脱法ハーブの恐ろしさを知っていて、敬遠しているのです。
脱法ハーブに依存してしまう
種類や原材料にもよりますが、脱法ハーブには依存性が存在します。
依存症のリスクについては、違法とされている薬物と同程度、あるいはそれ以上と考えるべきです。
脱法ハーブの作用が去ったあと、強烈な「不安」「悲しみ」「絶望感」など、ネガティブな感情にさいなまれます。
ネガティブな感情を取り去るために、また脱法ハーブを摂取するというわけです。
こうして依存が形成され、次第に「耐性」を獲得するようになります。
耐性を獲得するということはつまり、「以前の量では脱法ハーブによる快感が得られなくなる」という意味です。
よって脱法ハーブの摂取量が増加して(オーバードーズ)、さらに強烈な依存へとハマっていくようになります。
脱法ハーブの摂取量が増えると、脱法ハーブに起因するリスクはますます大きくなります。
より強烈な幻覚を見たり、異常な行動に出たりする、というわけですね。
また、下記するように大量の摂取によって、命を落とすことさえも考えられます。
死ぬ
最悪のケースでは、死にいたるケースもあります。
殺傷能力の高さだけで言えば、ヘロインやコカインなどのれっきとした違法薬物を上回っているとも言えるでしょう。
にもかかわらず「脱法」がゆえにまん延しているのは、たいへん大きな問題です。
特に大量摂取があったとき、死へ至る可能性も高くなるようです。
ただし大量でなくとも、少量でも死にいたる可能性はあります。
脱法ハーブの摂取に起因する日本での死亡者数は、2012年から2014年で41人にのぼります。
これはあくまでも「脱法ハーブの摂取」、つまり「脱法ハーブの成分」によって死亡した人の人数です。
交通事故など、間接的な死亡要因についてはカウントされていません。
つまり「脱法ハーブで何かのトラブルに発展したケース」も含めるのであれば、死亡者数はさらに多くカウントされるというわけです。
(参考:megalodon)
2020年、今の脱法ハーブについて
2020年現在も、脱法ハーブは一定数が流通しています。
むしろ種類が増えたことによって、さらに多くの需要を獲得しているという向きも。
入手方法も容易化しており、実店舗や通販、果ては自販機でまで購入できるというありさまです。
値段もやや安く、1本分が千円から数千円で購入できます。
脱法ハーブよりも、安全なCBD製品を
というように脱法ハーブは、想像以上に大きな危険性を有しています。
「脱法だから」といって、決して手を出してはいけません。
コカインや覚醒剤などに手を出すのと、同じくらい大きなリスクが存在します。
中には、「それでも何かを摂取することで、ハイになりたい、楽しみたい」と考えている人もいるでしょう。
残念ながら、そのような効果が得られる薬物には、ほぼ確実に大きなリスクが伴います。
唯一、「大麻」が低リスクではありますが、日本において大麻は厳しく取り締まられています。
あえて脱法ハーブ(あるいは薬物、大麻)の代替えを挙げるとすれば、「CBD製品」が挙げられるでしょう。
CBD製品とは、大麻草に含まれている安全な成分を含んだ、
- オイル
- お菓子
- リキッド
- 飲み物
などの製品を意味します。
CBDとは、カンナビノイドの一種です。
脱法ハーブが人工だとすれば、CBD製品は天然カンナビノイドを使った、オーガニックな存在です。
CBDを摂取することで、
-
- リラックスできる
- よく眠れる
- 集中できる
- 不安感が抑制される
ストレスを感じづらくなる
など、さまざまな精神的な効果が得られます。
そして何より副作用や依存性がほとんどなく、極めて安全性が高いものです。
「とてつもなく楽しい気分になれる」というものではありませんが、少なくとも作用しているうちは、かなり快適な時間が過ごせるでしょう。
そもそも「とてもつもなく楽しくなる」こと自体、大きな問題です。
ちなみに、
- 肌の保湿をサポートする
- 肌を綺麗に保つ
といった、美容的効果もあるとされています。
当然ながら、脱法ハーブに美容効果は立証されていません。
これは特に女性からしてみれば、たいへん大きなポイントとなるでしょう。
というようにCBD製品は、脱法ハーブの代替え品としてじゅうぶんな働きを示してくれます。
脱法ハーブに手を出すくらいなら、CBD製品で安全に楽しむことのほうが、よほど建設的だと言えるでしょう。
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まとめ:脱法ハーブは、危険なうえに格好良くない
脱法ハーブの危険性は、想像以上に大きいものです。
異常行動や幻覚、強烈な依存症、そして最悪の場合、死に至る可能性があります。
何をどう考えても、脱法ハーブに手を出すべきではありません。
最後にひとつ付け加えると、「脱法ハーブを吸うことは、格好よくないし、むしろダサいこと」でもあります。
中には脱法ハーブを吸うことが格好いい、と思い込んでいる人もいるでしょう。
仲間内が脱法ハーブを吸っていて、自分もそうありたい、という人もいるかもしれません。
しかし脱法ハーブを吸うことは、あらゆるカルチャーにおいて「愚かで格好悪いこと」だと捉えられています。
間違った格好よさを追求するあまり、脱法ハーブに手を出さないようにしましょう。