FSLがブレイキングダウンのパクリで大炎上?有名ラッパーの怒っている!

  • FSLトライアウトが炎上しているけれどなんで?
  • あれってダサくない?
  • 暴力を振るっていいのか?
  • そもそもトライアウトって何?

FLSトライアウトの話を聞いて、このように思っている人はないでしょうか?

残念ながらこのイベント・企画はかなり批判されており、「失望した」「酷すぎる」といったコメントが寄せられています。

これがダサいかどうかはわからないのですが、少なくともHIP HOPとは遠いでしょう。

本記事ではFSLとFSLトライアウトがどういうものかおさらいしつつ、同イベントの炎上の原因などを解説します。


目次

FSLとは?トライアウトとは

会場

FSLはフリースタイルリーグの略称です。

MCバトルのプロリーグ化を目指すプロジェクトで、わかりやすく言えばUMBやKOKよりもさらにプロスポーツっぽいMCバトルイベント

一般的なトーナメントではなくマッチメイク(ボクシングの対戦相手を決めるような流れ)でカードが決まり、マッチしたMC同士の試合が観衆の前で繰り広げます。

最近ではT-PablowとR-指定のエキシビジョンマッチが話題になりましたね。

 

そのFSLと、凱旋・戦極・真ADRENALINE・口喧嘩祭が合同で開催したイベントが、FSLトライアウト

トライアウトとは、わかりやすくいえば入団テストです。プロスポーツでよく見かけられます。

たとえばプロ野球球団が「優秀な選手を獲得するため、トライアウトを開催する」と告知します。そうすると、その球団に入りたいスターの卵たちが応募し、選ばれしものだけが入団できるというわけです。

ラップの世界に置き換えるとこれまでも高校生ラップ選手権でT-Pablowやらニガリが発掘されましたね。戦極や凱旋でも、バックアップする価値のあるラッパーが見つけ出されています。

これは形式こそトーナメントですが、ある意味でトライアウトだったとも言えます。

FSLトライアウトもそれと同じで、次のT-PablowやR-指定を見つける…はずでした。

炎上の原因になったFSLトライアウトの告知動画

しかし、知ってのとおりFSLトライアウトはTwitterやらYouTubeやらで大炎上しています

Yahoo!やlivedoorなどのニュースサイトでも話題に上がり、日本中から非難されているといっても過言ではありません。

ここで問題の発端となったFSLトライアウトの告知動画を見てみましょう。

告知動画は何本からありますが、この2本だけでもどういう雰囲気だったかわかるでしょう。

内容を簡単にまとめると、

  • あんまりラップせず普通に悪口を言い合っている
  • 殴り合いに発展している
  • 有名ならラッパーが上から目線で「お前は努力していない」「もう飽きられている」「お前は1mmもかっこよくない」と罵倒する
  • ブレイキングダウンっぽい

というところです。

FSLトライアウトの告知動画の問題点

上記のFSLトライアウトの告知動画は、ヘッズや有名ラッパーから以下のように批判されています。

  • ラップではなく暴力が目立つ
  • 一回戦がラップではなく悪口の言い合い
  • ブレイキングダウンのパクリに見える
  • そもそもHIPHOPの原理から反している
  • HIPHOPの要素が感じられない
  • 無名MCに対する酷すぎる扱い
  • 地方からトライアウトを受けに来たラッパーに対する扱い(疑惑)

もちろん「告知動画」の段階なので、まだすべてを判断する段階ではないのかもしれません。

しかしこのように告知されてしまった時点である程度の問題が起こるのは必然です。

それぞれ詳しく解説するのでご参考にしてください。

ラップではなく暴力が目立つ

もっとも大きな問題点は、ラップではなく暴力で物事を進めようとしている、またはそう見えることです。

 

告知動画では、ある人物がラッパーの髪の毛を掴んだり、トライアウト受験者同士で取っ組み合ったりする場面が見受けられました。

HIP HOPがどうこう以前に、基本的に暴力は受け入れたがたいでしょう。ラッパーと名乗っているのだから、喧嘩ではなく、ラップを基準に物事が進められるのがあるべき姿ですよね。

 

例外的に、それが歓迎される場面もあります。格闘技やその試合前会見などが典型例です。

しかしHIP HOPは格闘技ではありません。その点を踏まえて、「殴り合っている!面白い!」と思える人がどれだけいるでしょうか?

 

私たちはラップにおける新しい才能やフルスキルな試合を見たかったはずです。次のR-指定やAuthorityが現れるのを待っていたはずです。

相手に殴りかかる気概は、あくまでビート上で体感したかったでしょう。

 

そのうえで、ラップではなく暴力を行使して物事を進めるさまは、格闘技とHIP HOPを取り違えて、野蛮なものを見せられているだけ。

そういうふうには感じられないでしょうか?

暴力を振るって相手を傷つけてトライアウトを勝ち抜いた人が、HIP HOPだと思えるでしょうか?

ブレイキングダウンのパクリに見える

また「ブレイキングダウン」のパクリに見えるという意見も多々見受けられました。

ブレイキングダウンとは、朝倉未来が主催するYouTube上の格闘技企画です。主に不良っぽい人たちを集めてバチバチさせたり取っ組み合わせたりしているやつですね。

最終的には1分間のマッチを繰り広げます。要するに今あるボクシングやK-1、RAIZINなどを、YouTube企画サイズに落とし込んだものといえるでしょう。

 

そして告知動画の内容が、このブレイキングダウンとそっくりです。主催者たちが鎮座する前にトライアウト受験者が集められ、その目の前でラッパーたちが戦わされています。

主催者側のラッパーとトライアウト受験者が小競り合いになっている場面もありました。そしてブレイキングダウンで有名になったバン仲村もいます。

これで「ブレイキングダウンを意識していません」というのは無理があるでしょう。

 

HIP HOPは(サンプリングという文化を認めつつも)、基本的にはオリジナル、唯一無二性がよしとされる世界です。だからパクリの楽曲は叩かれるし、R-指定や呂布カルマの真似のように見えるラッパーは叩かれたりするわけですね。まあ芸術表現の世界なら基本的にそうでしょうが…

ただし互いに攻撃し合うHIP HOPの一面を考えると、パクリだったり誰かの真似事だったりは、手厳しく批判される傾向にあります。で、そこでブレイキングダウンみたいなことをしたら、当然非難の的にはなるでしょう。

 

ちなみにバン仲村に関しては、彼自身が何か問題を抱えているのではないのですが、なぜかトライアウト合格者(予選通過者)を決める権限を与えられています。

彼は日焼けサロンなどを手がける実業家であって、たとえば漢 a.k.a GAMIのようなラッパーとしてのキャリアを持っているわけではありません。彼がラッパーたちの行く末を決定づける構造には、かなり手厳しい批判が寄せられていました。

ある作家は「イタリア料理のプロが、バスケットボール選手の才能を評価するようなもの」と表現しています。

そもそもHIPHOPの原理から反している

FSLトライアウトが告知動画の内容そのものなら、HIP HOPの原理から反しています

HIP HOPの原理の解釈は人によるでしょうが、少なくとも「物理的な争いを避けるために、ダンスやラップでのスキル勝負が代替え手段として使われる」というのは共通しているでしょう。

そうするとあの告知動画はHIP HOPとは根底から相容れないわけです。スキルで勝負した瞬間がひとつでもあったでしょうか?

無名MCに対する酷すぎる扱い

これは前後の文脈にもよりますが、まだ無名MCであるトライアウト受験者に対する扱いが酷いとも言われています。

主催者側にいる有名ラッパーたちは、「努力していない結果がこれだ」「飽きられている」「ダセェ」「1mmもイケていない」と、かなり辛辣なことを言っていました。

トライアウト受験者側から喧嘩を売ったなら、まあそれは仕方ないでしょう。ただしこの告知動画を見る限りそういう文脈がないので、有名ラッパーたちが無名ラッパーをメチャクチャに言っているようにも見えます。

(何かしら正当な理由があったと信じたいですが…)

地方からトライアウトを受けに来たラッパーに対する扱い(疑惑)

あくまでも疑惑ですが、地方からトライアウトを受けに来たラッパーに対する扱いがひどい、という意見もありました。

疑惑とするには、決定的すぎる証言な気もしますが…

ツイートによれば、あるラッパーは、オーディションでラップではなく単なる口喧嘩をさせられて、挙句佐賀に帰ってきたそうです

「MC BATTLE発のHIPHOPスター発掘企画」で、ラップではなく単なる口喧嘩をさせているという点にはかなり批判が集まっています。

少なくとも8小節2本は与えられてよい…とは思います。

 

FSLトライアウトの会場は東京であり、九州地方から出てくるには当然ながら費用がかかるでしょう。どんなに安くても50,000円くらいはかかりそうです。

「ラップでスターになりたい」と思うなら、それくらいの覚悟は必要かもしれません。

しかしラップすら見てもらえずにとんぼ帰りさせられるのは、いくらなんでもかわいそうではないでしょうか?

 

私たちが普段見ているラッパーやバトルMCは、決められた小節数および秒数、そしてビートのうえでその魅力を発揮しています。

本当にスターを見つけるなら、そのステージは最低限必要だと思わないでしょうか?


ワンチャン高度なマーケティングかも

ただ、もしかしたら高度なマーケティングなのかもしれません。わざと炎上して注目を集めようとしている可能性があります。

今回の炎上が意図したものでなければ、あまりにも下手すぎるという見方もできるでしょう。

ブレイキングダウンに似たり、そもそも暴力を振るったりするのが批判の的になるのは、少し考えればわかるはずです。

また以下のような点も、「炎上マーケティングぽいな」と思える部分ではあります。

  • 会場に詰めかけているラッパーたちがどこかエキストラっぽい(エキストラじゃないなら、どういう状態?)
  • ラッパー同士の取っ組み合いが至近距離で撮影されているが自然にこの画角を抑えられるか疑問が残る
  • とにかく有名ラッパーによるガチギレシーンが多い(どういう文脈でミステリオやACEがキレているのか理解しがたい)

要は話題を集めるために台本を書いて、わざと悪く見えるようにしているんじゃないか?ということです。実際良くも悪くも(9割がた悪いが)話題にはなっているし、マーケティングとしては成功しています。

ただしそういうマーケティングを実施するのがHIP HOPかといえば微妙なところです。

FSLトライアウトに対する有名ラッパーの意見

FSLトライアウトに関しては、ヘッズだけではなく、有名なラッパーたちも意見を述べています

何名かピックアップして、どのような意見を述べているのか見ていきましょう。

  • CIMA
  • SILENT KILLA JOINT
  • PONY
  • STARGAZE
  • 呂布カルマ

CIMA

著名なラッパーのなかでFSLトライアウトに対してもっともネガティブな方向に踏み切っているのがCIMAです。

https://twitter.com/CIMA0798/status/1683825139077754881 https://twitter.com/CIMA0798/status/1684086155053256704

「これがきっかけでイベントに呼ばれなくなっても、何も気にしない」とまで言っています。

FSLトライアウトにはFSL・戦極・凱旋・真ADRENALINE・口喧嘩祭が関係しており、もしこれらの団体すべてから嫌われたら、CIMAはまともにバトルが出来なくなるわけです。

ギリギリUMBに出られるくらいでしょうか。

 

あまり攻撃的な言葉を使ってはいないのですが、「こんなのはHIP HOPではない」という隠された文脈が感じ取れます。

SILENT KILLA JOINT

SILENT KILLA JOINTは、以下一連のコメントを残しています。

要するに、会場では取っ組み合いやら何やらトラブルがあったけれど、なんとかHIP HOPが成立するように努めたとのことです。

また「第一ステージで口喧嘩をさせられた」という情報ももたらしています。

そして悲しいのが、現場にいた彼が、現状でFSLトライアウトに対して寄せられている疑問や非難に関して、特に反論していないこと。

もしくは、取っ組み合いがあったり、選考フローに単なる口喧嘩があったりしたことのウラが取れてしまっていることです。

「まあ告知動画だし、本編を見るまではわからない」という意見もありますが、上記のことから本編で印象が回復する期待は持てません。

PONY

PONYは(絶対に思うところはあるはずですが)、「すべてを観るまではわからない」という意見を述べています。

ほとんどのラッパーはFSLトライアウトに対して否定的なスタンスを取っています。ただPONYをはじめ、「本編を見てからすべてを判断しよう」と、冷静な意見を述べている人もいます。

ただ上記したとおりSKJをはじめとした現場にいた人物からの証言があるため、本編を見ずともわかりきっている部分はありますが…

STARGAZE

STARGAZEは以下のようにコメントしました。

かなり気を使った表現ですが、あるべき姿は罵倒やUMBにある、というふうにも解釈できます。

もしMCバトルが「定められた小節数とビートがあり、暴力を介入させずスキルや言動の正当性で勝敗が競われる」ものだとするなら、FSLにあるべき姿はないでしょう。

まとめ

本記事ではFSLトライアウトの炎上に関して解説しました。

FSLトライアウトは、残念ながら肯定的には捉えられてはいません。

HIP HOPなのである程度バチバチするのは仕方ないでしょう。しかし暴力を振るうとか、ビートなしで口喧嘩するとか、それはHIP HOPとは異なるわけです。

あくまでも決着はビートのうえでつけるべきですよね。

とはいえ、まだすべてが決まったわけではありません。もしかしたら本編動画では、ある意味で真っ当なトライアウトがおこなわれる可能性もあります。

本編では、誰もが納得するような形で、新しいスターが見つかることを願わずにいられません。

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