まったくといっていいほど知られていませんが、人間は時として、「カンナビノイド欠乏症」という症状に陥るケースがあります。
カルシウムや水が不足することと同じく、人体にとってはたいへん危険な症状です。
カンナビノイド欠乏症になっていると、さまざまな体調の不良があらわれるでしょう。
できればこの症状に陥ることは、避けたいところです。
そもそもカンナビノイド欠乏症とは何か?
エンドカンナビノイド欠乏症とは、
「エンドカンナビノイドシステム(ECS)」という身体機能が回らなくなるほど、”カンナビノイド”という成分が足りなくなる
という現象です。
といっても、「そのシステムはなんだ?」「カンナビノイドとは何か?」と思う人も多いはずです。
カンナビノイド欠乏症のことを正しく理解するには、まずこのふたつについて理解しておく必要があります。
それぞれについて、詳しく解説します。
エンドカンナビノイドシステムって、そもそも何?
エンドカンナビノイドシステムとは、「人が生きていくために稼働し続ける機能」のこと。
このシステムは、ほとんどの活動をつかさどるものです。
たとえば、
- 食欲を感じさせる
- 感情をコントロールする
- 運動するために体を動かす
- 記憶をとどめておく
- 免疫を作ったり、解除したりする
- 痛みを感じさせる
- 体を発達させる
- あるいは老化させる
- 脳神経を維持する
といったことは、エンドカンナビノイドシステムと深いかかわりがあります。
もしシステムが正常に稼働していなければ、上記の活動は阻害されてしまうわけです。
たとえば、少し記憶力が悪くなったり、怒りや悲しみをおさえきれなくなったり、ということが起こります。
これはまだよいほうで、「免疫が作れなくなる」「食欲を感じなくなって、ご飯が食べれない」というような問題も起こりかねません。
というようにエンドカンナビノイドシステムは、人間にとってたいへん重要なものなのです。
もう少し噛み砕いて、システムのことを解説しておきましょう。
人間は、生きていく中で、外部からさまざまなストレスを受けます。
転んでケガをするのもストレスだし、失恋した悲しむのもストレスです。
それでもケガはいずれ治るし、失恋しても立ち直ります。
というように「何かがあったとき、元へ戻す」というような役割を、システムが担っているというわけです。
関連記事:【必読】大麻の作用ってどんなもの? 詳しく解説します!
カンナビノイドとは
続いてカンナビノイドとは何なのか、解説しておきましょう。
カンナビノイドとは、エンドカンナビノイドシステムを回すために必要な、特別な成分のこと。
これがないと、システムは正しく機能しません。
現時点でカンナビノイドは123種類、発見されています。
カンナビノイドがもたらす効果や効能は、種類によってさまざまです。
カンナビノイドは、たいていは3種類に分別されています。
- 大麻にしか含まれていない、「植物性カンナビノイド」
- 人工的に作り出された、「合成カンナビノイド」
- 体内で作り出される、「内因性カンナビノイド」
大切なのは、内因性カンナビノイド。
エンドカンナビノイドシステムは、基本的に「内因性」のカンナビノイドで機能しています。
内因性のカンナビノイドがカンナビノイド受容体というものとくっつくことで、システムは回るというメカニズムです。
ただし内因性カンナビノイドは、常に必要な量が供給されているわけではありません。
内因性カンナビノイドは、ちょっとしたことですぐ不足してしまうと言われています。
続いて植物性カンナビノイドとは、一言で言えば「大麻に含まれている特別なカンナビノイド」のことです。
人体で作られないカンナビノイドが、さまざま存在しています。
特に有名なのは、THCとCBDというカンナビノイド。
THCは、「気持ち良くなる」「ハイになる」というような現象に関わっていると言われています。
マリファナを吸ってハッピーになれるのは、主にTHCのおかげであると考えられています。
当然、体内で作り出すことはできません。
続いてCBDは、「肌のコンディションを維持する」「リラックスした気分を保つ」といった現象に関わっています。
現在ではCBDが注目されており、「人々の活動を、力強くサポートで駅る」という見方がなされています。
THCとCBDは世界的に有名で、マリファナやCBD食品として流通しています。
最後の合成カンナビノイドは、麻薬や覚せい剤として扱われえるものです。
エンドカンナビノイドシステムにはメリットはないし、欠乏症を治してくれるものとしては考えられていません。
仮に欠乏状態が解消されたとしても、それ以上のデメリットをもたらすというのは周知の事実です。
とにかく「合成のものはヤバい」と思っておきましょう。
カンナビノイド受容体
カンナビノイド受容体とは、簡単に言えばカンナビノイドと合体できる物質のことです。
先ほども触れたとおり、ふたつが結びつくことで、システムは正常に機能します。
カンナビノイド受容体は、1990年代に発見された、比較的新しい物質です。
研究では、カンナビドイド受容体はいたるところに発生するとわかりました。
脳、心臓、消化管、骨、皮膚……あらゆるところにカンナビノイド受容体は存在し、カンナビノイドとの結合を待っています。
カンナビノイド受容体には「CB1」と「CB2」が存在し、前者は神経細胞上、後者は免疫細胞上に分布する物です。
カンナビノイド欠乏症の症状とは?
上記ででゃ、カンナビノイドと、エンドカンナビノイドシステムについて解説しました。
これで、カンナビノイド欠乏症のことを理解する準備ができました。
念のため解説しておくと、カンナビノイド欠乏症とは、システムが回らないほどにカンナビノイドが不足しているよ、ということ。
カンナビノイド欠乏症になると、
- 気分の変調
- 吐き気
- 頭痛
- 発作
- 疲労感
- 筋肉の痛み
- 腸の不調
- 肌のトラブル
- 記憶力の低下etc…
といった悪影響が出てくる可能性があります。
ひとつ一つは大したことではないかもれませんが、複数の症状が同時に出たすれば、どうでしょうか?
仕事はもちろん、日常生活にも支障をきたすことが、容易に想像できるでしょう。
カンナビノイド欠乏症を避けるためには?
というようにカンナビノイド欠乏症は、人体にとってたいへん厄介なもの。
時には重大な健康問題を引き起こす可能性もあります。
しかしカンナビノイド欠乏症を防ぐ、あるいはエンドカンナビノイドシステムを正常に回すためにできることはあります。
じゅうぶんな睡眠を取る
睡眠は、エンドカンナビノイドシステムにとってたいへん重要なファクターです。
睡眠不足になると、システムのはたらきは著しく低してしまいます。
また、就寝している時間も重要です。
朝方に寝て昼間起きるという睡眠習慣には、明かな悪影響があります。
システムを保全するためには、1日あたり7時間程度の睡眠を要します。
…….というのは、システム以前に、そこここで言われている話ですね。
どうあっても、じゅうぶんな睡眠が取れるように工夫したいところです。
よい脂質を摂る
脂質を摂ることは、エンドカンナビノイドシステムにとって大きな助けとなります。
なぜなら脂質は、内因性カンナビノイドの材料になるからです。
具体的にはオメガ3、6といった脂質が、材料となっています。
よい脂質を取れば、体調がよくなることが感じられるかもしれません。
ただし脂質は、肥満などの原因になるので、摂りすぎに注意しましょう。
逆にエンドカンナビノイドシステムの負担となってしまうことも……。
「健康にいいから、たくさんの脂質を摂ろう!」というような開き直り方だけは避けましょう。
CBD製品を摂取する
大麻への理解が進んだ現在では、CBD製品の摂取も役立てられています。
先ほども触れたとおり、エンドカンナビノイドシステムは、ほとんど内因性カンナビノイドによって動いています。
とはいえ、常にじゅうぶんな内因性カンナビノイドを作れるわけではありません。
しかし植物性カンナビノイドであるCBDを足してあげることで、システムをサポートしてあげられるということです。
CBDを摂取したからといって、いきなり身体のカンナビノイドの総量が増えるわけではありません。
しかし物理的、精神的なストレスがかかったとき、CBDは確実にサポートしてくれます。
CBDを摂取する方法はさまざま存在しますが、
- オイル(飲む)
- リキッド(吸う)
- クリーム(塗る)
- クッキー・チョコレート
- ジュース・ドリンク
などの形態が考えられます。
CBD製品を摂取すれば、システムの働きがサポートされ、心身ともに調子は上向くでしょう。
ちなみにクリームなどの「塗るCBD」は、異常が起きている場所にピンポイントで塗り込むことで、より活動が補われる可能性があります。
(関連記事:注目の大麻成分、「CBD」がもたらす驚くべき効果とは? 徹底的に解説します )
まとめ
- 人間の体は、カンナビノイドシステムという、絶対に欠かせない機能がある
- システムは、カンナビノイドがじゅうぶんに供給されることではたらく
- そのカンナビノイドが足りなくなり、心身に不調をきたすのが「カンナビノイド欠乏症」
少し難しい話でしたが、要するに「システムを回すのに栄養が足りていない」という話です。
今までカンナビノイドシステムは、あまり注目されてきませんでした。
発見されたのがつい最近の話であり、その重要性に誰も気付いていなかったからです。
しかし現在ではカンナビノイドシステムの重要性が知られるようになり、同時に「カンナビノイド欠乏症」の危険性も、少しずつ理解され始めています。
心身ともに充実した日々を送るため、是非ともシステムは大事にしてあげたいところです。
睡眠、食事、そしてCBD製品の摂取……できることはたくさんあります。