医療大麻とは一体なんなのか? 秘められた効果を解説します

大麻は、娯楽用としてではなく、医療用として使われることの方が多い存在です。
部分的ではありますが、医療の現場では、「医療大麻」が幅広く用いられています。

とはいえ、医療大麻がどのよう用いられているか、詳しく知る人は少ないでしょう。
本記事では、医療大麻の効果について、詳しく解説します。

目次

医療大麻とは?

医療大麻とは、治療で使えるように作られた、特殊な大麻です。
大麻に含まれているTHC(テトラヒドロカンナビノール)などの成分が、治療効果をもたらします。
大麻には70種類以上の成分が含まれており、これを目的に分けて選ぶことで、より効果的な医療大麻ができる、というわけです。

以下のような理由から、医療大麻は重用されています。

安全性が高い

医療大麻は、きわめて安全性が高いということが分かっています。
アメリカでの研究結果によると、8年間で医療大麻が直接原因となった死亡例は、ひとつもありませんでした。
考えられる副作用が少なく、また生じたとしても、非常に軽微なものです。

むしろリタリンやハルドールなど、社会的には安全とされている薬は、多くの死者を出しています。
これは参考URL先、「PROCON」でも詳細に語られている事実です。

(参考:ProCon.ORG

製薬が容易

医療大麻は、製薬が容易であることでも知られています。
すでに医療大麻の製薬方法は確立されているからです。

また、製薬にかかるコストは、かなり低いと言われています。
したがって、患者に対する経済的な負担も、軽減できるというわけです。

医療大麻のもたらす、医学的な効果とは

医療大麻は、膨大な種類の病気や疾患に対して、効果があると認められています。
その数、およそ250種類。
外科的、内科的な疾患に対してはもちろん、精神疾患をも治療する効果があります。

(参考:International Classification of Diseases 9 – CM 1996 Chronic Conditions Treated With Cannabis Encountered Between 1990-2004

医療大麻で治療できる、外科的、内科的疾患

医療大麻によって、以下のような外科的、内科的疾患を治療できるということが分かっています。

  • 筋ジストロフィー
  • 緑内障
  • メニエール病
  • 椎間板ヘルニアなど
  • HIV
    (その他多数)

上述のように、重篤な疾患に対しても治療効果が確認されています。
医療大麻は、こういった疾患に悩まされている人へ、大きな変化をもたらす可能性があります。
今まで「難病」とされてきた疾患に対しても、よりよい医療が提供されることでしょう。

医療大麻で治療できる、精神的疾患

また、精神疾患に対しても、幅広く効果を示しています。

  • うつ病
  • 双極性障害
  • 統合失調症
  • 不安障害
  • アルペルガー症候群(自閉傾向)
  • 各種依存症(煙草、コカイン、アンフェタミンなど)

やはり重篤な精神疾患に対しても、効果があると判明しています。
ほとんど治療法が確立されていないアスペルガー症候群にも効果ありとされており、かなりセンセーショナルなデータです。

また、大麻は依存性があるどころか、各種依存症を改善させることも判明しています。
これは「医療大麻が危険である」という一般的な見識が誤りであることを示しています。

ちなみに医療大麻の依存性は、かなり低い部類です。
もっとも依存性が高い成分であるTHCでさえ、コーヒーの3分の1程度しか依存リスクを有しません。
CBDにいたっては、「そもそも依存性がない」と結論づけられています。

(参考:医療目的での大麻の使用に関する欧州議会決議

癌にも効く?

「大麻で癌を治せる」ということが、時々噂されます。
結論から言えば、大麻で癌の症状を緩和することは可能です。
また、すでに医学的エビデンスも取られています。

たとえば乳がんに対しては、高い効果を示します。
アメリカの癌学会「Molecular Cancer」が、この事実を突き止めました。
「大麻(カンナビノイド)は、乳がんの進行を食い止めるほか、癌細胞を死滅させる」と報告されています。

(参考:Molecular Cancer

その他、

  • 口腔がん
  • 膵臓がん
  • 前立腺がん
  • 肺がん

などにも効果があると、各種の研究で明らかになっています。
あくまでも効果が期待されるということであり、根本的にがんを取り除くわけではありません。
とはいえ、今現在がんと戦っている人にとっては、たいへん希望のある話です。

後述する医療大麻の普及が進めば、癌治療は大きく進歩するかもしれません。

医療大麻の普及について

医療大麻は、近年になって、著しく普及し始めました。
かつては医療大麻にはさまざまな規制がかけられていました。
しかし大麻の安全性が明らかとなるにつれ、世界中で医療大麻を導入する動きが始まっています。

世界における医療大麻の普及

医療大麻は、すでに世界中で幅広く普及し始めています。
WHOが、医療大麻に対する考えを軟化させたことが発端です。

すでにアメリカや韓国など30以上の国で、医療大麻が合法化され、爆発的に普及しています(2020年2月現在)。
臨床実験や研究も盛んであり、日本では考えられないほど医療大麻が浸透しています。
特に先進国は、契機と見るやいなや、進んで医療大麻を合法化してきました。

少しずつではありますが、「医療大麻が合法化されていないこと」の方が、少数派になりつつあります。
まだ合法化を実現していない先進国(フランスなど)も医療大麻について研究中です。

また、医療大麻に特化した医療団体まで登場しており、もはや珍しいものではなくなってきました。
数年のうちには、もっと多くの国々が、医療大麻を合法化させて広く普及させているかもしれません。

なお、海外は大麻に対して「愛着」や「信仰」を持っているケースが少なくありません。
こういった背景もあり、大衆から受け入れられやすく、合法化や普及も盛んになったと言われています。

日本における医療大麻

上述してきたとおり、医療大麻は、医学的に優れた存在であることがうかがえます。
しかし、残念なことに日本では、医療大麻への理解が進んでいません。
2020年現在も、日本では、医療大麻に対して厳しい規制がかけられています。

そもそも日本では、医療大麻の実験をおこなうこと自体が困難です。
なぜなら、大麻を栽培する、所持するだけで、逮捕要件を満たしてしまうから。
諸外国で見られる「研究目的での大麻栽培・所持」も認められておらず、研究を進められないのです。
ようやく「治験」という形式であれば、限定的には可能であると認められた段階です。

これは、医療大麻への無理解を誘発しています。
諸外国では、(多少の不便やリスクはあれど)医療大麻の研究を進めることができました。
したがって、海外では医療大麻に対する認識が正され、結果として積極的な導入へと進んでいます。

しかし日本では、研究ができない以上、医療大麻への理解は進められません。
未だに「医療大麻は危険である」という認知が強くあり続け、解禁される見通しも立っていないというわけです。

日本で医療大麻が使えるようになるには、大麻取締法に大幅な改正を必要とします。
現状では改正に向けて目立った動きもなく、しばらくは日本で医療大麻が認められることはないと見られています。

また、「日本人が大麻を摂取することに執着していない」という点も、解禁を遅らせる要因です。
海外(ジャマイカなど)では、大麻というのは、日々の生活で当たり前に見かけられるものです。

しかし日本では、明らかに大麻は一般的なものではありません。
歴史をさかのぼっても、せいぜい漢方薬の原料程度にしか使われていません。
医療的にも、娯楽的にも、大麻に対して興味を示してこなかったのです。

だから、わざわざ「合法化しよう」というニーズや活動が発生しないというわけです。
それは、大麻取締法の法改正を大きく遠ざけています。

とはいえ、医療大麻の普及に対して、まったく希望がないわけではありません。
上述したとおり、医療大麻の合法化へ向けた流れが出てきています。

日本に近い国で言えば、韓国やタイが合法化させました。
各国の中には、アメリカも含まれており、相当な勢いで医療大麻を合法化させています。

そして、日本はアメリカの法改正に追従することが多い国です。
つまり、「アメリカがそうしたから」という理屈で、医療大麻も合法化する可能性があります。

まとめ

医療大麻は、さまざまな疾患に対して、大きな変化をもたらしうる存在です。
実に250以上の疾患を改善すると見られており、期待が広がっています。
難病やがんの治療にも適しているとも考えられており、闘病する人にとっては大きな希望と言えるでしょう。

近年になって、世界各国は、続々と医療大麻を合法化させています。
情勢やWHOの声明を鑑みれば、今後も合法化は進められていくでしょう。

日本も例外ではありません。
少し時間は掛かるでしょうが、日本でも医療大麻が合法化される可能性はじゅうぶんにあります。

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