- 「MCバトルに出ている人たちのように、ラップができるようになりたい!」
- 「カラオケでラップの曲を歌えるようになりたい」
- 「いつかMCバトルやライブに出たい」
上記のように考えている人は多いのではないでしょうか?今回はラップに興味を持った人向けに、ラップの練習方法やコツを解説します。
そもそもラップは歌い方の一つで練習すれば誰でもできる
最初に知って欲しいのは、ラップなんてものは歌い方のひとつにしかすぎず、誰でも練習すればできるようになること。
あいみょんの「マリーゴールド」やウタの「私は最強」は、上手い下手はさておき誰だって歌えるでしょう。これは歌唱法を実践したからできるわけです。
つまりラップという歌唱法を覚えれば、同じように歌えるようになります。特別な才能も必要ありません。タイトルに書いた通り、「ラップが難しい?いやいや、ラップなんてもん誰にだってできるわ!」というレベルです。
ラップという歌い方
ラップを歌唱法として捉えたとき、その特徴は3つ挙げられます。
- メロディーが重視されず淡々と歌う
- 要所で「韻」を踏む
- フロウ(歌い回し)で魅せる
ラップにおける最大の特徴は、メロディーがあまり重視されないこと。一般的なポップスやロックと違い、音程の上がり下がりが少なく、基本的には平坦です。
これが難しい!と思う人がいるかもしれません。しかし冷静に考えれば、「音程の変化が少ないから音を外しづらい」ということでもあります。そもそもラップは、普通の音楽よりも簡単なわけです。
そしてラップミュージックには、やはり韻が欠かせません。これは母音が一緒の単語を組み合わせて歌うという技法です。
例えば「HIPHOP育ち 悪そうな奴は大体友達」というのは「そだち」と「(と)もだち」で韻を踏んでいます。これがラッパーの特徴として認識している人は多いでしょう。
そしてフロウが重要です。そのビートに合った歌い方やリズムで、独創的に自分自身の音楽センスを披露します。といっても既存の楽曲を歌う分には、本人の真似をしておけば何の問題もありません。
即興ラップでないのなら、とにかく「メロディーを重視せず、淡々と歌うこと」に慣れれば何とかなります。
ちなみに、「YO YO!!」などとかならずいう必要はありません。
即興ラップもすぐできるようになる
本記事を読んでいる人の中には、MCバトルの影響で「即興ラップをできるようになりたい!」と思っている人も多いでしょう。
ものすごくむずかしいことにも見えますが、実はこれも練習すれば、誰だってできるようになります。
もちろん、すでに存在する楽曲を覚えるよりかは難しいでしょう。しかし実際にやってみればそこまで難しくはないし、練習する方法も多々あります。
筆者の体験談になりますが、ちょっとラップができるようになったら、それを友達に披露したときものすごく褒められました。その友達が連れてきた女友達の、「えっ!?今の何!?凄すぎる!!天才じゃん!」という表情が忘れられません。
女の子にモテるため…とまでは言いませんが、即興ラップを身につければ立派な特技として自慢できます。もちろんその道を突き詰めれば、MCバトルに出場することも可能。
むずかしいことをやっているように見えてカンタンなのがラップです。
手品は何も知らなければ、とんでもなくむずかしいことのように感じさせられます。しかしタネと仕掛けさえわかってしまえば、そんなに大したことではありません。
「ラップで全国を回りたい!」「バトルで優勝したい」などというならまた別ですが、趣味程度なら誰にだってできることです。
プロ並みにラップがうまくなる練習方法(即興もできるレベル)
MCバトルなどを見ていると、とんでもない技術を持っているラッパーたちが素晴らしいラップを披露しています。彼らを見ていると、「どうやったらあんなふうになれるのだろう」と思う人もいるでしょう。
しかし、誰しもいきなりラップが上手にできたわけではありません。以下のように練習をすれば、いつかは彼らと同じ…とは言わないまでも、十分に人前で披露できるレベルになるでしょう。
- すでに存在する楽曲を歌ってみよう
- フリースタイルならとりあえず歌ってみよう
- 韻を踏んでみよう
- 録音して聞き返してみよう
- ネットサイファーに参加してみよう
- サイファーに参加してみよう
- 勇気があればバトルに出てもよい
基本的に1がもっとも簡単で、7が最高難易度の練習法です。それぞれ解説するのでご参考にしてください。
すでに存在する楽曲を歌ってみよう
すでに存在している楽曲を歌って見ましょう。いきなり本格的なラップを歌うと難しい、というよりも楽しくありません。
最近のラップミュージックは、ラップをしつつもある程度はメロディーを残しているものがあります。こういった楽曲は初心者でも歌いやすいため、練習課題としておすすめ。
例えば以下は、初心者の練習にはうってつけです。
これは聞き馴染みがあるはずです。全体的にメロディーがあるため、歌いやすいでしょう。それでもラップ感はきちんと残っているので、よい練習になります。
AKLOのRGTOも練習しやすいでしょう。SALU(中盤に出てくる不良っぽくない人)のバースだけ少しクセあるので、飛ばしてもかまいません。
ただしフロウの勉強という意味では、チャレンジしてみてもよいでしょう。
というように、有名な楽曲をまずは歌ってみるのがおすすめです。
なお、「既存の曲をカラオケで歌いたい」というなら、練習のステップはここまででOK。合わせて後ほど解説する「人前でカッコよくラップする方法」も確認して見てください。
フリースタイルならとりあえず練習してみよう
ここからは、即興でラップする「フリースタイル」や「MCバトル」の技術を身につけたい人に向けて解説します。ほとんどの人はラップを歌うより、「即興でやりたい」と思っているのではないでしょうか?
フリースタイルの技術を身につけたいなら、とにかくインストを流して、適当にラップしてみましょう。
もうフロウとか韻とかいっさい気にする必要はありません。とにかく、失敗しても何でもいいのでラップしてみることです。
インストの音源は、YouTubeで検索すればいくらでも出てきます。また以下のような練習動画も役立つでしょう。
これは、投稿者が音源にラップを乗せていて、そこに視聴者がアンサーを返す、という趣旨の動画です。要するにインターネット上でサイファーができます。
いろんな動画を参考に、フリースタイルラップをやってみましょう。もちろん最初は誰も上手にはできませんが、やり続けていれば見えてくるものはあります、ぜひチャレンジしてみましょう。
韻を踏んでみよう
少しでも歌えるようになったら、次は韻を踏んでみましょう。といっても、いきなりFORKやSAMのように、高度なライミングをする必要はありません。
最初はビートさえ流さなくてもOK。2文字か3文字の単語同士で踏める言葉を探して見ましょう。
たとえば「タイプ」と「マイク」といった具合です。そのうち、「挟み撃ち」「語りすぎ」とか、「確かな愛情」「明日は最高」など、本格的な韻が踏めるようになります。
それに慣れきたら、実際にビートに乗せて韻を踏んでみましょう。ただフリースタイルラップを習得するうえで、韻を踏みながら歌うのが、壁とは言わないまでも少しつまずきやすいポイント。
多少苦労するかもしれませんが、SAMやFORKのようなカッコイイ韻の踏み方ができている自分の姿を想像しながら頑張ってみましょう。
録音して聞き返してみよう
フリースタイルラップをかっこよくできるようになりたいなら、ぜひ録音して聞き返してみましょう。
ラップは、自分ではそれなりにできていると思っていても、客観的に聞いてみるとそれほどでもないことが多々あります。
「自分の声を聞いたら気持ち悪い」と感じたことがある人はいないでしょうか?それと同様の現象を感じるはずです。
またリズム感が悪かったり、声量が小さかったり、色々な部分が欠けていることに気づくでしょう。
もちろん、これ自体が悪いわけではありません。誰だって自分で自分の声は聞こえないから仕方ないのです。
録音して聞き返せば、どうすればかっこいい声が出せるのか、リズム感や声量はどう調整するべきなのかを考えるきっかけが得られます。
もちろんフリースタイルラップを自由に楽しむなら、ここまで深く考える必要はありません。しかし上手くなりたい、格好良くなりたいと考えるなら、録音して自分自身のラップを研究しましょう。この繰り返しで、少しずつ自分自身のラップが見つけられるようになるはずです。
ネットサイファーに参加してみよう
ネットサイファーに参加するのもよい方法です。
いろいろなところに存在するようですが、おすすめはDiscordにあるサイファー。
ここでは音声通話を通してサイファーに参加できます。
特に参加人数の多いモンスターサイファーや総合サイファーはおすすめ。ここなら自由にサイファーやバトルを(インターネットベースではありますが)楽しめます。
そのほかチャットでやり取りしたり、上級者の話を聞けたりするのもポイントです。ぜひDiscordのサイファーに参加して、ラップの腕を磨きましょう。
サイファーに参加してみよう
少し勇気のいることですが、リアルのサイファーに参加してみるのもよいでしょう。アーケードで円になってラップを披露し合う集まりに行こう、というわけですね。
サイファーと言っても、梅田サイファーのように、ものすごく垣根の高いものではありません。
だいたい以下のように駅前で適当に集まってラップをします。
現在、サイファーは数えきれないほど存在します。よほどの田舎でない限り、何かしらのサイファーが近くでやっているでしょう。
基本的にそこそこ大きな駅か公園ならやっていると見て問題ありません。インターネットで「駅名+サイファー」で検索するとだいたい出てきます。
近くで開催されているなら、ぜひ一度飛び込んでみましょう。
最初は少し怖いかもしれません。仲間に入れてもらえるかどうか不安だと思う人もいるでしょう。
で、実際問題すぐに仲良くなりづらい側面はあります。
ただしサイファーはラップという共通点で結ばれている人同士のかかわりです。何度も通っているうちに、少しずつ友達は増えていくでしょう。
サイファーなら、自分自身の腕をしっかりと磨けます。また、バトルをすることも可能です。勇気がある人は、ぜひサイファーに参加してみましょう。
勇気があればバトルに出てもよい
勇気があればバトルに出てもよいでしょう。といっても、戦極やUMBに出ろと言っているわけではありません。
地方のライブハウスでは、ときどき小規模な大会が開催されています。これに出演するのもひとつです。
フリースタイルラップに憧れる多くの人は、「バトルがやりたい」と思っているでしょう。バトルに参加するハードルは高くなく、各大会にエントリー費2,000円くらい払えば出られます。
バトルに出ることのメリットは、なんといっても成長が期待できること。
「試合を控えている」となれば、やはり気合の入り方が違います。必死でラップして、韻を考えたり、相手のことを研究したりするでしょう。サイファーへ行く勇気だって生まれます。
とはいえいきなりバトルに出るのは、相当なプレッシャーがかかるもの。誰だって怖いはずです。無理に出る必要はないので、心が余裕がある場合で問題ありません。
人前でカッコイイラップをするときのコツ
人前でカッコイイラップをするコツは、大きく分けて6つ挙げられます。
- アクセントをつけて歌う
- 手で体でリズムを取る
- 腹式呼吸で声を出す
- 「ダサい」単語は言わないようにする
- 恥ずかしがらない
- 「YO」とかわ言わないほうがよい
この5つは、ラップにおける基本的なポイントです。もちろん、いきなり全部できるようになるわけではありません。
しかし一つずつ自分のものにしていけば、確実にカッコイイラップができるようになります。それぞれ解説するので、ご参考にしてください。
アクセントをつけて歌う
アクセント(強弱)をつけて歌うのは、最初にマスターしたいポイントです。これを知っておくだけで、ある程度カッコイイラップができるようになります。
もっともアクセントをつけるべきなのは、パンチラインか韻を踏んでいるところ。パンチラインは、キメ台詞的な部分ですね。要するに特に伝えたいことははっきり伝えるのが大切。
パンチラインと韻にアクセントをつけるだけで「フロー」が生まれ、聞いているほうも心地よく楽しめます。ただし、あまり派手に強弱をつけてしまうと、「ドヤ感」が出てしまいます。あくまでもクールな感じで韻を踏むようにしましょう。
たとえば烈固は、韻を目立たせるように意識しています。基本的に彼はアクセントをつけているのがわかりやすいラッパーです。彼の真似をしているだけでも、かなり「らしさ」が出てくるでしょう。
楽曲で言うと、GADOROのチャレンジャーもアクセントをつける練習には役立ちそうです。強調したいところを強く発音するのではなく、逆に弱くするなどのテクニックも学べます。
楽曲自体はかなり簡単で、初心者でも歌いやすい部類です。音程もイージーで、サビの部分は通常の歌になっており、構成もシンプル。初心者はぜひこのナンバーで練習してみましょう。
手でリズムを取る
これは自然に身につけられるものですが、手でリズムを取るようにしましょう。手足の動きがついてくれば、よりよいリズム感でラップができるようになります。
ただラップの場合、手で「トントン」とリズムを取る人はあまりいません。言葉の内容に合わせて、ランダムに手を動かすのがラップにおけるリズムキープです。
この動画がわかりやすいかもしれません。とにかく手を動かして、「何かを掴もう」とする様子が見受けられます。足はリズムを掴む目的では動いていないように見えるでしょう。
実際にやってみるとわかるのですが、ラップは手を動かさないとできたものではありません。頭が回らないし、なんとなく居心地の悪い感じがするはずです。
ほとんどのラッパーは、基本的には手を動かしながらラップをします。詳しい原理まではわかりませんが、手が動いていると頭の回転が速くなるのかもしれません。実際、筆者も手を動かしながらラップすると、何かアイデアが思いつきやすいような感じはします。
腹式呼吸で声を出す
腹式呼吸で声を出すのも大切です。これも初心者にとってかなり大切なポイント。
初心者のラッパーは、「とにかく声量が出ず、何を言っているのか聞き取れない」という状態になりがちです。
大声を出せばよいわけではありません。しかしある程度の声量でなければ、そもそも誰にも聞いてもらえなわけです。
はっきりと発声するためにも、腹式呼吸を意識しましょう。これはちょっと慣れが必要ですが、ちょうど以下動画でわかりやすく解説されていました。
筆者はラッパーとして活動しているさなか、この動画を何度も見返して練習していました。筆者だけではなく、他のラッパーたちもこの動画を何度も見返しており、もはや「教科書」的な扱いになっています。
まずはこの動画で、しっかりと勉強しましょう。これを実践してラップをするだけで、だいたいの初心者よりはカッコイイラップができるようになるはずです。
関連記事:現役ラッパーが語る韻を踏むコツ・練習方法・理論を解説!
「ダサい」単語は言わないようにする
仮に即興で歌っている場合は、「ダサい」単語は言わないようにしましょう。具体的にいうと
- 「そんな感じ」
- 「わかるだろ」
- 「っていう話」
- 「みたいもんだ」
だとか、もう誰もが聞き飽きてしまったようなフレージングです。「レペゼン⚪︎⚪︎」とか、「You Know Say?」なども使わないほうがよいかもしれません。
ちなみにT-Pablowは、「MCバトルは、1日に何回もやっていると、少しずつ”そんな感じ”だとかダサい言葉が増えてくる」と言っています。
もちろん、こういった単語をまったく言っていけないわけではありません。R-指定ですら、「そんな感じ」「みたいなもんだ」と言ったりします。
ただ、これが1バースの中に何度もあると、「なんか、うん、ダサい」と思われがちです。自分でやっていても、冷めてくるでしょう。
T-Pablowは「バトルはもう途中からダサい言葉を減らしていく作業」だと言っています。これはラッパーとして活動する自分としても同意見です。
ボキャブラリーが少ないうちは、どうしても「そんな感じ」「レペゼン⚪︎⚪︎」みたいな言葉に頼りがち。プロでも言ってしまうのだから、初心者のうちはなおのこと言わないようする意識が必要です。
SAMとSKRYUの試合です。両者とも「そんな感じ」だとか「っていう話」とか、そういったことは言っていません。
SAMが「栃木レペゼンが〜」といったことを言っていますが、これは「間を埋めるための苦し紛れ」ではなく、「言いたかったら言っただけ」なので、ダサくは見えないでしょう。
上手なラッパーはダサいことを言わず、ちゃんと意味やバックグラウンドを感じさせる言葉でラップします。今からつまらないことを言わないように練習しておくとよいでしょう。
恥ずかしがらない
ラップをするときは、とにかく恥ずかしがらないようにしましょう。
たとえラップがうまくても、恥ずかしがっていては見れたものではありません。R-指定がキレキレのラップをしながら照れていたら、いくら技術があっても誰もカッコイイと思わないでしょう。
とにかくラップをしているときは、下手とか上手とかどうでもいいので、恥ずかしがらず堂々とラップをするべきです。それだけで格好良く見えるし、仮にうまくいかなかったとしても「いやメンタル強いな!」「逆に面白い」という流れになります。
ラップをしている人は恥ずかしいどころか、「今の俺が世界一かっこいい」とさえ思ってラップしています。
それでいいのです、ラップをしているあなたは、普段はどうあれ今この瞬間は誰よりも輝いています。
「YO」「Yeah」などはあまり言わないほうがよい
ラッパーのイメージと逆行しますが、あんまり「YO」「Yeah」などとは言わないようにしましょう。その理由はふたつあります。
- リズム感が狂う
- YOやYeahが多すぎると下手に聞こえる
まず、「YO」や「Yeah」を言えば言うほどリズム感が狂いやすくなります。「YO」を入れると、そのために8小節のうち0.3小節くらいは消費するわけです。
つまりあと7.7小節という、変な括りの中にラップをおさめなければいけません(小節を無視するラップもありますが)。
まだ「YO」1回なら取り戻せますが、あまりにも頻度が多すぎると訳のわからないリズムになってしまいます。できるだけ「YO」は言わないようにしましょう。
ちなみに実際のバトルの動画を確認してみてください。「YO」と頻繁にいうラッパーは、意外と少ないはずです(FORK、ムートンあたりくらい)
4バース中、Zeebraが何回か「Yeah」と言ったくらいで、Authorityは「YO」も「Yeah」も言っていません。
そう考えると「YO」も「Yeah」も大して必要ではないわけです。むしろ自分が言いたいことを言ううえで邪魔になりやすいでしょう。
余計なことは言わずに自分がやりたいことをやるのが、フリースタイルラップのコツです。
ラップの曲を作る方法
ラップを歌いたいというだけでなく、「自分で曲を作りたい」と思っている人も多いでしょう。
実はこれも、特別な才能がある人しかできない、というわけではありません。
ラップの世界にはフリービートというものがあり、これを使うのが一般的です。要するに誰かが作ったビートを使えるので、ラッパー本人がやるのはリリックを書いて歌うことのみ。
イチから楽曲を制作する場合と比較してずいぶんシンプルです。
とはいっても創作には苦しみがつきもので、リリックを書くのと収録するのがひとつのハードルにはなるでしょうが…
楽曲制作のステップはおおむね以下のとおり。
- フリービートを決める
- テーマを決める
- 自分の思っていることを述べる
- だいたいのリリック構成を考える
- 韻を考える
- パンチラインを考える
- リリカルな表現を考える
- 推敲する
- 収録する
それぞれのステップを詳しく解説するのでご参考にしてください。
フリービートを決める
まずは、どのフリービートを使うのか決めましょう。これはYouTubeで検索すればいくらでも出てきます。
WICSTONEというビートメーカーが、最近では有名です。他にも数多くのフリートラックが存在するので、気に入ったものが見つかるまで探してみましょう。
ただしほとんどの場合商業利用するには、(つまり楽曲を販売したり収益化したりするなら)、ビートメーカー側にライセンス料などを支払う必要があります。趣味で楽しむ範囲では問題ないでしょうが、この点には注意しましょう。
テーマを決める
続いて、ラップで歌いたい「テーマ」を決めましょう。要は何について歌うかです。ラップの世界では、このテーマはかなりワンパターン化されていて、ほとんどが下記のいずれかに該当します。
- 成功
- お金
- セルフボースティング(俺が最強!みたいな曲)
- セックス
- 地元
- 友情
- お酒
- 政治
- 大麻
- ワル自慢
例えば舐達麻の曲はだいたい大麻に分類されます。
ZEEBRAのStreet Dreamsはセルフボースティングと、友情と成功が混在していると言えるでしょう。
ただしいきなりテーマをごちゃ混ぜにすると難易度が跳ね上がるので、何かひとつのテーマに絞り込んだほうが書きやすいでしょう。
自分の思っていることを述べる
テーマが決まったら、それについて自分の思っていることが何なのか述べてみましょう。そして、それをノートなどに書き留めます。
例えば友情について楽曲作成するとしましょう。だとしたら、
- 友情は恋愛よりも大切だ
- 友情はどんな辛い状況でも自分を支えてくれる
- 友達のためならどんなことだってできる
- 友情を大切にしない人は嫌いだ
- 友達とこれからもずっと一緒にいたい
などと、自分なりの見解が見つけられるはずです。この見解こそが楽曲の中に存在するあなた自身であり、同時にメッセージとなります。
まずは自分の中で何を思っているのか書き出してみましょう。己との対話というやつです。
だいたいのリリック構成を考える
続いて、だいたいでよいのでリリックの構成を考えましょう。
そもそもラップの楽曲は、基本的には「バース」と「フック」で構成されます。
バースは一般的にいうAメロBメロに該当。フックは要するに、サビです。
そして多くの場合、バース16小節→フック8小節→バース16小節→フック8小節…という構成になります。たとえばzeebraのStreet Dreamsはまさしくこの構成です。
まずはこの構成にしたがって、ざっくりとリリックを書き出していきましょう。1バース目で何を言って、フックで何を言うか…筋道を考えていくわけです。
これはすでにある楽曲の歌詞を参考にするとわかりやすいでしょう。ちなみにStreetDreamsの歌詞はJ-Lyric.netで全文閲覧できます。
ここがもっともたいへんな作業かもしれません。しかし楽曲を作るというのは簡単ではなく、やはり創作の苦しみが伴います。「絶対に楽曲を完成させる」という意気込みを持って取り組みましょう。
韻を考える
ある程度リリックが形になってきたら、次は韻を考えます。
ここまで言いたいこと、伝えたいことは整理されましたが、それだとただのスピーチにしかすぎません。
ここから韻というHIP-HOP独自の要素を入れることで、ラップミュージックが完成します。
まずは書き出したリリックを見返して、踏めるところがないか探してみましょう。例えば「友情」をテーマとしているなら、「友達」という単語は使っているかもしれません。
そうすると「大人に」「この街」といった韻が出てきます。すると、
- この街で出会った友達
- あれから10年二人は大人に
といった具合で、韻をまとったリリックが出てくるはずです。
もちろん、韻は絶対に踏まなければいけないわけではありません。韻を踏まないラップミュージックも多々あります。
しかし韻を踏めていれば、ラップとしての魅力が現れやすいのも事実。まずはある程度ライミングして、音の響きを整えておきましょう。
パンチラインを考える
続いてパンチライン、つまり「聞き手の印象に残るフレーズ」を考えてみましょう。これがリリック上にあるかないかで、楽曲の完成度は大きく左右されます。
MCバトルを見ていると、「これはすごい!」と思ったフレーズが出てくるはずです。最近で言うと、Authorityの「青い地球の黄色い主人公」とか、そういうことですね。
自分なりにパンチラインを考えて、伝えたいことを鮮烈にアピールしましょう。
リリカルな表現を考える
ここまでリリックの基礎を固めて、韻やパンチラインまで落とし込みました。続いて、リリック全体を「リリカル」に、つまり格好良く仕上げていきましょう。
ただ事実を述べるだけなら、ラップではありません。それをリリカルに表現するからこそ、音楽である理由があります。
例えば早雲の「令和二年夕刻」をリリックを見てみましょう。
この曲の前半部分は、要するに「このままだと政治家にいいようにされるから、自分の考えを声に出さないと終わりだぞ!」という警告です。
ただし、そんなことをストレートに言われても説教でしかありません。だから早雲はその事実を、「言うべきを言わざるは究極の死」というふうに表現しました。
このように事実を自分なりのセンスで格好良く切り出すのがリリカルです。
これに正解もルールもありません。自分の思ったことを自分のセンスで表現するのが何よりも大切です。
「ダサい」と思われてもかまいません。仮によいリリックにならなくても経験を積んでカッコよくなればいのです。
「これは微妙かな?」と思っても自分がかっこいいと思うならリリックに盛り込みましょう。
それを避けてしまっては、個性のないラップミュージックになってしまいます。まさに「言うべきを言わざるは究極の死」というわけです。
推敲する
一旦ここまでで、楽曲の全体像は完成しました。最後に「推敲」というステップに移ります。
推敲とは要するに、見返す作業のことです。文章としておかしい、間違えたところがないか確認してみましょう。
またリリックの場合、推敲は「新しいアイデアを見つけて追加するステップ」でもあります。全体を見直していくなかで、「やっぱりこの表現のほうがよい」「この言葉はこれで踏める」といったことに気づくかもしれません。
つまり推敲のステップで、楽曲の完成度をもうひとつ高められるというわけです。ぜひじっくりと推敲する時間を持ち、よりよいラップミュージックに仕上げていきましょう。
収録する
いよいよ最後のステップです。スタジオブースに入り、ラップを歌って音源として完成させましょう。
ただし、ここが楽曲制作における最大・最後のハードルになります。スタジオブースを予約する点は、誰でもできるでしょう。問題となるのは、ラップと音源の音バランスなどを調整する、いわゆる「ミックス」という作業です。
このミックスは、専門的な知識がなければ実施できません。よくわからないソフトや機械を使うことになるので、初心者が実施するのはやや無理があるでしょう。
よってミックスだけは、それを本職としている人に依頼するのがベターです。
もちろんお金はかかります。DJヤナタケや呼煙魔に依頼するとしたら何十万円もかかるでしょう。
ただし、そこまでする必要はありません。ココナラというサービスを使えば、ミックスできる技術者を簡単に見つけられます。
ココナラとは要するに「何かを代わりにやってあげますよ」という人と「何かをしてほしい」という人をマッチングするサービスです。
要するに「⚪︎⚪︎円でミックスしますよ」と言っている人がたくさんいるので、そこから自分に合った人を探そうということ。
価格設定は人によりますが、安ければ5,000円くらいで実施してくれます。音源として形にしたいなら、ココナラでミックスができる技術者を探してみましょう。
まとめ
本記事ではラップの練習方法や楽曲の作り方を解説しました。
正直なところ、ラップはさほどむずかしいものではありません。誰でもある程度練習すれば、そこそこできるようになります。
既存の楽曲を歌えるようになるなら、要するにマネをすればいいだけ。あとはリズムの取り方やアクセントなどを理解しておけば何の問題もないでしょう。
フリースタイルに関しては少し難易度が高くなります。しかし基本的には、「思ったことを言うだけ」で、難しいわけがありません。
内容の格好よさやフローの気持ちよさはちょっとコツを意識して練習すればいくらでも高められます。
さすがに楽曲制作となると時間がかかりますが、これもさほど難しいことではありません。きちんと練習すれば数ヶ月程度で達成できるレベルです。
ラップというと、すごく特殊な技術のように聞こえるかもしれません。しかし実際のところ単なる歌い方のひとつにしかすぎません。
英語が言語で練習すれば誰でもできるのと同じように、ラップだって努力すれば誰だってできるようになります。ぜひ恐れることなくラッパーとしてのキャリアを歩み始めましょう。
関連記事:現役ラッパーが語る韻を踏むコツ・練習方法・理論を解説!