2022年8月31日、おそらく今までもっともメンツが豪華なMCバトルイベント「バトルサミット」が開催されました。
あのZeebraが、あのRYKEY DADDY DARTYが出場することで話題に。また優勝賞金1,000万円という強烈なリターン、さらには日本武道館というこれ以上ないシチュエーション、そして呂布カルマやAuthority、CHEHONなど全国クラスの化け物が登場。
そして昨日、全試合が終了しました。
本記事ではバトルサミットの結果やベストバウトなどについて解説します。
バトルサミットの結果
Authorityが「BATTLE SUMMIT」優勝、ZeebraやMOL53を破り賞金1000万円獲得https://t.co/pOM0c2reyE#バトルサミット #BATTLESUMMIT pic.twitter.com/K7h7fXrwAH
— 音楽ナタリー (@natalie_mu) August 31, 2022
<1回戦>
⚪︎RYKEY DADDYDARTY VS ベル
CORN HEAD VS JUMBO MAATCH⚪︎
⚪︎がーどまん VS MU-TON
⚪︎呂布カルマ VS 孫GONG
CHEHON VS MOL53⚪︎
釈迦坊主 VS Authority⚪︎
SIMON JAP VS ID⚪︎
⚪︎DOTAMA VS 梵頭
晋平太 VS CHICO CARITO⚪︎
⚪︎Zebbra VS 漢 a.k.a.GAMI
バトルMCが強かったですね。Authorityは釈迦坊主を、呂布カルマは孫GONGを寄せ付けませんでした。
「バトルだけ」と揶揄されることも多いHIPHOPですが、「バトルだけでも」すごい、と気付かされます。
<2回戦>
⚪︎がーどまん VS JUMBO MAATCH
⚪︎Authority VS ID
⚪︎DOTAMA VS CHICO CARITO
がーどまんがMU-TONを倒したあとでJUMBO MAATCHを倒すという展開に。こんなに強かったっけ…
3回戦(シードがあるため)
RYKEY DADDYDARTY VS がーどまん⚪︎
⚪︎Zeebra VS DOTAMA
がーどまん、RYKEY DADDYDARTYも撃破。
そしてZeebraが強すぎる。
準決勝
がーどまん VS MOL53⚪︎
Zeebra VS Authority⚪︎
KOK2019決勝の再現が決定。
決勝
MOL53 VS Authority⚪︎
優勝:Authority
(やはりというか)優勝したのはAuthority。
1回戦はレジェンドアーティスト釈迦坊主、2回戦は因縁の相手ID。
さらに伝説の存在であるZeebra。最後はKOKの決勝で苦渋を舐めさせられたMOL53。
すべての試合にドラマがあり、胸を熱くさせてくれました。
バトルサミット2022の結果を見て印象に残ったこと
ZEEBRA対○Authority
ビート RepZ「街を歌い地元をREP!!」
Au「あんたより今日は荒い鼻息!」
Z「大乱闘、せずに1000万取って行くアイランド」
Au「ビートにスピット、青い地球の黄色い主人公」#バトルサミット
生放送↓
abemahttps://t.co/eqCW7PG3GR
e+ https://t.co/KJnmcbBFBp pic.twitter.com/dOwIpWOvbE— うすい (@mchakenshine) August 31, 2022
バトルサミット2022を見届けた結果、「この大会はとんでもないものだった」と感じています。
特に以下のような点には、ものすごく特別な思いを感じました。
- RKYKEY DAADDY DIRTY、孫GONG、Zeebra、釈迦坊主参戦
- Authorityがエグすぎる
- RAWAXXXはいないがMOL53がいる
- がーどまんが強い
- Zeebraが激渋
- ビートが全部エグい
- 激アツカード多すぎ
ちょっと既存の大会ではあり得ないクオリティでした。
RKYKEY DAADDY DIRTY、孫GONG、Zeebra、釈迦坊主参戦
バトルサミットといえば、バトルMCではないラッパーが出場するのが一つの目玉でした。
RKYKEY DAADDY DIRTY、孫GONG、Zeebra、釈迦坊主と、えげつないメンバーが登場。
1回戦第1試合からRYKEYが出てくるという異常な世界線です。
ちなみにRKYKEY DAADDY DIRTYと呂布カルマがベスト4まで上がっていた場合、電話でモメた相手同士での正面衝突でした。
Authorityがエグすぎる
優勝は(やっぱり)Authorityでした。もう誰にも真似できないほどリリカル。
- 青い地球の黄色い主人公
- アンタよりも荒い鼻息
- これすら序章なのさ 新時代始めるぞ
R-指定を超えるかどうか、と議論されることがある彼ですが、もう何かしらの領域において、今日超えたのではないかと思います。
青い地球の黄色い主人公はもはや一流の詩人レベル。唯一無二であることを、色鮮やかに、そして韻まで踏んで、これ以上ないフレージングでした。
RAWAXXXはいないがMOL53がいる
びっくりしたのがRAWAXXXの姿がなく、MOL53がいることでした、
本気でバトルサミットを取りに行くという覚悟がうがえます。そして決勝まで上がっていく安定感にシビれました。
鬼ピュアワンラインはなんだったのか..
MOL53はもともと社会的に適合するタイプではなく、どちらかというと他者に対して攻撃的。そして大麻で逮捕されるというアウトロー側の人間です。そんな彼が日本武道館でカマせるのは、なんというかHIPHOPが人を救うのだな、と感じました。
がーどまんが強い
がーどまんが過去最高の仕上がり。即興の韻は決まりまくり、話の筋も通っています。
聞き取りやすく、8小節目のキメも間違いなし。
バトルサミットでベスト4まできて、もう彼を「YouTuberだ」と後ろ指差す人はいません。YouTubeで成功して、ラップでもトップクラスなだけです。
Zeebraが激渋
日本語ラップシーンのレジェンドであるZeebraが登場、そして激渋のスキルを見せてくれました。
- 「高ラにダンジョン、俺が絡めば商売繁盛」
- 「ここは武道館、俺は真の武道家」
- 「上にはあるぜ国旗、この後飲むぜ生ジョッキ」
など、原始的というか、「韻ってもともとそういうもんだったな」というのを思い出させてくれました。
敢えて倒置法にすることで、「一体、何をいうのだろう」というワクワク感、久しく忘れていたように思います。
そして全盛期そのままの渋みとダーティ感、これを生で見られた人は本当に幸せです。
ビートが全部エグい
とにかくビートが激アツでした。
- Street Dreams/Zeebra
- 禁断の惑星
- AREA AREA
- マラドーナ
- LIBRO STARGE(KOK2021 呂布カルマ VS FORK ビート)
残りのビートもハズれなし、とにかくとんでもないビートセンスでした。
激アツカード多すぎ
釈迦坊主やZeebraが出ているでていないに関係なく、激アツカードが多すぎました。
- KOK2019決勝の再現になったAuthority VS MOL53
- クラッシュになったCORN HEAD VS JAMBO MAATCH
- UMB2015決勝の再現になったDOTAMA VS CHICO CARITO
- 過去の揉め事が話題になったがーどまん VS MU-TON
- 宿敵同士で激突した Authority VS ID
- 永遠に相容れない呂布カルマ VS MOL53
- レジェンドMC同士、Zeebra VS 漢 a.k.a GAMI
要するに、全部エグいという話で、それ以上に説明のしようがありません。
他にも勝敗次第では、
- もしかしたら梵頭 VS 晋平太が、
- 呂布が勝っていたらまたがーどまんとの泥沼の言い争いが
- 漢 a.k.a GAMIと晋平太が
という可能性もありました。
バトルサミット2022のベストバウト
バトルサミット2022はとにかく他の大会とレベルが違いました。会場の規模、MCのプロップス、ビートのセンスすべてが最高峰。
そんな中でも個人的に刺さったベストアウトについて解説します。
一回戦 がーどまん VS MU-TON
敗北を持ち帰れ東北へ
一回戦でもっともアツかったのはがーどまんとMU-TON。両方とも高めのバイブスで向かい合い。
がーどまんが「俺は相当強ぇ、敗北を持ち帰れ東北へ」「クロスカウンターに合わせてアッパー」ときちんと意味を通してきました。
記者会見の時は、ボング持ち込んでむせてこのご時世にノーマスクで咳しまくってたアホだったんですが…
(引用:YouTube)
その点も含めて「人の前に立つこと」の意味合いをよく理解しているがーどまんのほうが上手だったと思います。
記者会見を見たときは「コイツ本当にバカなんだな」と思いましたが、それも含めて伏線が…張られているわけでもなく、本当にふざけたかっただけですね。
一回戦 Zeebra VS 漢 a.k.a GAMI
(空白)俺はエモい試合がしたいわけじゃない
とうとうZeebraがバトルに登場。相手は漢 a.k.a GAMI。
漢が感極まって、1バース目を空白で埋めた瞬間が印象的。
Zeebraは想像していたよりも何倍もかっこいいラッパーでした。筆者はキングギドラの世代ではないので、若い頃をよく知らないのですが、
「上にあるぜ国旗 この後飲むぜ生ジョッキ」
と、聞かされた瞬間になぜレジェンドになったのか一撃で理解できました。
準決勝 Authority VS Zeebra
今日はアンタより荒い鼻息
おそらく今回のバトルサミットでもっともブチ上がったベストバウト。
足元はNIKE 俺は生意気
今日はアンタよりも荒い鼻息
というフレーズで椅子から転げ落ちそうなほど食らわされました。
Authorityが、ちょっと異次元というか、R-指定とはまた違った意味合いで人間を辞めていることに気付かされます。
対するZeebraからは、今までの日本におけるHIPHOPシーンの基本的な所作・哲学・信念を感じました。今とは違うクラシカルなDISと韻の踏み方をぜひ聞いてほしいところです。
まとめ
本記事でははバトルサミット2022年の結果について解説しました。
今までで一番エゲつないメンツ、ビート、会場。そして1,000万円という強烈なリターン、とにかく最高の大会であったといっても過言ではありません。
UMBより、KOKより価値ある大会だと言えるでしょう。
ちなみにバトルサミット終了後、以下のような発表が。
ついに始動!@FSL_japan
FREE STYLE LEAGUE9月13日に川崎クラブチッタ
”T-Pablow vs R-指定"
スペシャルエキシビションマッチの招待券を300名様にプレゼント応募方法は@FSL_japan
Twitterをチェック! pic.twitter.com/GUW8CO4vl8
— 凱旋MCbattle (@gaisenmcbattle) September 1, 2022
フリースタイルリーグなるものが始まるそうです。要するにリーグ戦が新たにスタートするとのこと。
要は野球やサッカーのように、MCバトルがプロ競技化する…っぽいです。また「川崎フロンターレ」や「ガンバ大阪」のように、地方ごとでチームができるのかもしれません。
そして画像にあるのは、FSLに関連づいたエキシビジョンマッチを知らせるスクリーン。なんとT-PABLOWとR-指定がバトルをするとのこと。
バトルサミットをきっかけに、バトルが新しい時代へ突入しつつあることを感じました。
今後もまたバトルの行方を見守り、筆者はラッパーでもあるので、UMBやKOKに出場できるように頑張ります。