MCバトルで人気の高いビート19選(曲名・アーティスト名つき)
MCバトルでは色々なビートが使われますが、いわゆる「クラシック」と呼ばれるものは高い人気を集めます。
そのビートが流されただけで、会場が沸くこともしばしば。
本記事ではMCバトルで特に人気の高いビートを、曲名・アーティスト名付きで紹介します。
一網打尽|韻踏合組合/大阪の決勝戦はこれ
ERONEやHIDADDYが属する韻踏合組合と、多数のビッグネームがフューチャリングした楽曲です。
ENTERやSPOT LIGHTなど、大阪で開催されるイベントの準決勝・決勝あたりでよくかかります。
また戦極や凱旋などの大会でかかることも。
とにかく客演が豪華で、かっこいいバースが勢揃い。非常に聞き応えのある楽曲です。
LEGACY|ICE BAHN/熱くて華のある人気クラシック
FORKが属するICE BAHNの楽曲。これもMCバトルで聴く機会の多い楽曲。
ややアッパーかつミドルテンポで、MCバトルと相性がよいのが特徴です。
最近ではクラシック的な扱いを受けており、BATTLE SUMMITの1回戦1試合目や2019年SPOT LIGHTの決勝(Authority対CIMA)などの重要な試合で使われました。
ちなみに楽曲のほうはとにかくガチガチのライムが満載。韻が好きな人にはたまらない仕上がりになっています。
“RGTO”feat.SALU,鋼田テフロン & Kダブシャイン|AKLO/クールなサウンドで会場を沸かす
戦極や凱旋などの大会でかかることの多い楽曲。
AKLOにSALU、鋼田テフロン、そしてKダブシャインが奏でる人気曲です。これだけのメンツが集まって、人気にならないわけがありません。
MCバトルのビートとしては、上物の音が目立たないので、MCの発声が聞き取りやすいのが特徴。
MC本来のスキルを暴き出す役割も果たしています。
The Terminator |dj honda · b.i.g. joe/クライマックスを彩るhondaグルーヴ
UMB2018の準決勝(ふぁんくVS呂布カルマ)など、UMBの大詰めで聴く機会の多い楽曲です。
The Terminator(終結を導くもの)という意味のタイトルがつけられています。
決勝や準決勝など、クライマックスシーンでかけるにはうってつけの曲名と音楽性です。
Rep feat MACCHO|ZORN/シリアスな曲調で緊迫感を演出
2022年UMB決勝(BALA a.k.a SBKN対SILENT KILLER JOINT)やBATTLE SUMMIT(Zeebra対Authority)などでかかったクラシック。
武道館でも使われていましたね。この扱いを見るに、特別な楽曲として使われているのがよくわかるでしょう。
楽曲全体のメッセージとして「ラッパーとして、レペゼンを背負うものとして、どのような生き方をするのか」という問いかけがあります。
またHIP HOP本来の哲学や価値観をベースとしており、非常に意義深い音源です。
曲調はダークかつややローテンポ気味。上物の音も控えめで、あらゆるラッパーに輝く余地のあるビートといえます。
悪党の詩|D.O/Thugなラッパーを輝かせる
裏の世界を生きてきたD.Oによる楽曲。
「悪党の詩」というタイトルから分かるように、Thugなラッパーたちを輝かせる力を持っているビートです。
リリックには「悪党が奏でるこの詩が全土にばら撒かれる頃には 山積みのままのプロブレムは 少しでも片付いているだろうか」などのパンチラインが満載。
ちなみにこのラインは「権力や構造は俺たちを迫害しているが、お前たちだって汚いことをやっているじゃないか」というメッセージが込められています。
マジでハイ|梅田サイファー/大阪発の新しいクラシック
R-指定擁する名門、梅田サイファーの楽曲。
リリースされてから数年しか経っていませんが、すでにクラシック扱いされています。大阪でおこなわれる大会の大詰めにはだいたいこのビートが流れます。
最近では凱旋の決勝などでも使われましたね。
BPMもMCバトル向きで、ノリやすく、ベストバウトが生まれやすいのが特徴。
Turn Up feat, T-PABLOW,SKY-HI| KEN THE 390/MCを狂わす禁断のビート
とにかくビートの質がよいことで知られるTurn Up。
独特の緊迫感と真剣味があり、特にUMBでは重宝されている印象です。
このビートがもっとも注目されたのは2021年のUMB本戦、早雲VS黄猿で使われたとき。
それまで割とピースフルにしていた黄猿が、このビートを聴いてから良い意味で狂い始めます。
目を見開き、好戦的なワーディングで攻撃するようになり、そして後半にはボディータッチに起因するいざこざで一触即発の事態に。
一度鳴り始めたら何かが起こるまでは終わらない、特別なビートです。
TEENAGE VIBE feat. Tohji (Prod. Chaki Zulu)|kZm/
最近リリースされた楽曲のなかでは特に注目度の高いビートです。
HIP HOPにしては早めのBPMで、MCの即興性が問われます。
注目されたのは凱旋MC BATTLEでのID VS Authority戦。
二人ともこのビートを完全に乗りこなし、スキルフルなバトルを披露。
お馴染みの神編集も合わさり、文句なしのベストアウトに仕上がりました。
ただ、これに合うMCが二人揃うのが稀なため、そこまで頻繁にはかかりません(例えば呂布カルマにこのビートが合わないのはわかるでしょう)。
知らざあ言って聞かせやSHOW|TOKONA X/伝説的クラシックで会場を狂わせる
国内のHIP HOPにおいて、1位・2位を争うほど有名なナンバーです。
古い楽曲特有のシンプルさと、どことなく漂うアンダーグラウンド感が魅力。
ちなみにフリースタイルラップをやっている人ならわかると思いますが、そこそこBPMが速いので、頭の回転は高いレベルで求められます。
E Anthem|KT-Voice, Michoo, YSK, Royce, Disry & SiVA / DJ SHUN
UMB2016の一回戦のビートに選ばれ、数多くのベストバウトの舞台となった名曲。
シンプルな楽曲性で、どんなMCにも輝ける可能性を与えてくれます。
楽曲のほうもかなりカッコ良く仕上がっています。実はフックはかなりメロディアスで、心地よく聞けるのが特徴。
せっかくなのでぜひ一度聞いてみてください。
GADORO|チャレンジャー
「チャレンジャー」というタイトルから分かるように、MCバトルでは格好の題材となるビートです。
フロウしやすい、アンサー返しやすい、韻も踏みやすいということなし。
最近では、フリースタイルダンジョンやUMB本戦で使われていました。
そのタイトルと楽曲の方向性から、「プロップスが少ないほう」に味方をする性質を持っています。
要するに若いMCを勢いづかせるビートです。本人がそれをどこまで活かせるか、対戦相手がそれをどう跳ね除けるかに注目が集まります。
紫煙|漢 a.k.a GAMI
まだR-指定が3連覇を果たす前から、クラシックとしてガンガンかけられているビートです。
尺八っぽいリフが使われ、やや和風に仕上げられているのが特徴。
メロディーがはっきりと存在し、BPMも乗せやすいため、フローをかましやすい側面があります。
即興で歌い上げるMC、たとえば句潤あたりが乗りこなすと何かが起こりそうです。
人間発電所|BUDDA BRAND/クールかつメロウなクラシック
HIP HOPにかかわるなら、かならずおさえておきたい伝説的クラシック。楽曲としては日本最高峰で、シックなサウンドに、オーソドックスながら間違いのないラップが吹き込まれています。
バトルビートとしては、UMB2020本戦で使用されています。烈固VSAuthorityの試合で使われていました。
しっとりとした楽曲なのですが、割とバチバチな試合にもフィットすることがわかります。
マラドーナ|韻踏合組合/MCのスキルが試される難ビート
呂布カルマ VS MU-TONの試合で使われ、一躍有名になったクラシックです。
かなりハイテンポかつドラムのショットをつかみにくいので、乗りこなすのは簡単ではありません。
MU-TONはこれを完璧に乗りこなし、会場を沸かせていました。
16小節の場合は(DJのセンスにもよるが)8小節目の終わりがバースの終わりっぽく、16小節目が終わりっぽくない、つまり「数え間違い」が起こりやすくなります。
そういった意味でもクセのあるビート。しかしMCに求めるものが多いぶん、両者が乗りこなした場合はだいたいベストバウトになります。
最ッ低のMC|般若/激アツのバトルを彩る
UMB決勝などでガンガンかけられる、般若の伝説的なビート。
「⚪︎⚪︎、⚪︎⚪︎、⚪︎⚪︎、俺が狂ったのはあいつらのせいだ」というフレーズのサンプリングでよく知られています。
乗りこなすのは比較的簡単なので、初心者の練習にもおすすめ。
蜂と蝶|SOUL SCREAM/HIP HOPの礎を築いた伝説のビート
日本最高峰のクラシックとして知られる「蜂と蝶」。当時の音楽シーンやテクノロジーの進歩を考えれば、あまりにも格好良くすぎる楽曲です。
R-指定やDOTAMA、呂布カルマなどが、このビートの上で激戦を繰り広げました。
神聖なビートとして扱われているようで、UMBや戦極のクライマックスなど、限られたシーンでしかかかりません。
“RGTO”feat.SALU,鋼田テフロン&Kダブシャイン|AKLO/MCの潜在能力を引き出す名曲
近年もっとも成功した楽曲のひとつです。
遅めのBPMにシンプルに格好よいサウンドで、あらゆるタイプのMCに活躍のチャンスを与えます。
楽曲としても完成度は抜群。MVもクオリティが高く仕上がっているので、ぜひ一度見てみましょう。
禁断の惑星|志人/伝説的クラシック
日本最高峰のクラシックのひとつに数えられるビート。
「太陽なんてとうの昔に死んだよ」というフレーズが特に有名です。
楽曲としてはクオリティが凄まじく、「テクノロジーに踊らされる人類に未来」を憂うという、非常に強いメッセージ性を持っています。
そしてラップが単純にすさまじく、クラシックとして呼ばれる理由がよくわかります。
Zeebra|Street Dreams/日本史上最高のクラシック
最後に紹介するのはStreet Dreams。
気持ちを熱くさせるビートと、楽曲本来が持つHIP HOPに対する愛情が、MCと観客を熱狂させます。
高校生ラップ選手権やUMB、あるいは戦極の決勝戦でよくかけられます。UMBの地方予選決勝でかかることも。
特にバイブスが高いMCとの相性が抜群によく、これを味方につけたNAIKA MCには、あの呂布カルマ(ヤングたかじん)すら敵いませんでした。
まとめ:MCバトルを観るならビートのことも知っておいたほうがよい
本記事ではMCバトルでよく使われているビートに関して解説しました。
MCバトルの主役はもちろんMCで、もっとも大切なのは彼らがどのようなラップをしたか、そしてどちらかが格好よかったか、という点にあります。
しかしそれを彩るビートもまた、楽しみのひとつ。会場を大いに盛り上げて、MCたちの潜在能力を引き出し、ベストバウトを作り出します。
ちなみにMCバトルを観るなら、普段から音源を聴いておくとよいでしょう。そうすると知っているビートがかかったとき、よりよい形でMCバトルを楽しめます。
またMCのサンプリングなども理解できるので、知らないで聞くよりもずっと盛り上がれるはずです。
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