福島レペゼン、郡山のエース、GILについて

近年、戦極MCBATTLEやADRENALINEなどで大活躍しているGIL。渋い声とかっこいいワードセンス、硬派なスタイルに好感を持っている人も多いのではないでしょうか?

最近の流行り廃りに一切流すことなく、内容重視で相手と語り合うスタンスは、たいへん魅力的です。

しかしGILについて多くを知っている人は少ないのではないでしょうか?特にムートンやAuthorityあたりからラップを見るようになったなら、彼のことはよくわからないかもしれません。そこで本記事では以下を解説します。

  • GILの基本情報・来歴・プロフィール
  • あまり知られていないエピソード
  • MCバトルにおけるスタイルやベストバウト
  • 音源制作

GILはラッパーとしても人間としても魅力的で、よく知れば知るほどファンになっていく不思議な魅力があります。本記事で詳しく解説するのでぜひGILのことをより深く知りましょう。


目次

ラッパー・の基本情報

※画像左の人物

  • 本名:非公開
  • 年齢:36歳前後(2022年5月31日現在)
  • 生年月日:1986年3月9日
  • レペゼン:福島県郡山市
  • 戦績:戦国MCBATTLE17章優勝、UMB2014年ベスト4

これまでの生い立ちと経歴

福島県の郡山市で生まれたGIL。高校2年生の頃からラップミュージックが好きで、周りから「ラップしてみたらいいじゃん」と言われてキャリアをスタートさせます。

そこから地元のクラブハウスなどで活動し、GOTTIたちが主催する日立杯なるMCバトルトーナメントで優勝するなどしています。

一時期はMCバトルにおいて福島県内では敵なしで、UMB本戦にも出場。2013年にはベスト8まで駒を進め、翌年福島県でUMB地方予選が開催するように。つまりGILが「予選を持って帰ってきた」といったわけです。

2014年はUMBベスト4まで進出。あのR-指定に実質最後の相手として立ちはだかりました。

その後もUMBや戦極MCBATTLEなどに出場して活躍。戦極17章では呂布カルマを倒して優勝。現在も福島県の誇りを胸に、ラッパーとしての活動を展開しています。

誠実で素朴な人柄

GILのラッパーとして、人間としての魅力として、誠実で素朴な人柄も挙げられます。これはインタビュー動画などを見ればはっきりと伝わるでしょう。

めちゃくちゃ見た目も渋いし、ラップもぶっ殺しに行っているのですが、ステージを降りると上位のとおりの変わり様。どう考えても人が良いのが分かるし、はにかみ屋で、見ているこっちも笑顔になってしまいます。動画だけではなく、現場に出てその姿を見たくなるような魅力的な人柄です。

コメント欄では「実際に会ったら本当にいい人だった!」と絶賛されていて、本当にすばらしい人間性を持っていることがわかります。

GILのInstagramとTwitter

GILは以下のようにSNSを利用しています。

GILに関するその他の隠された情報

もう少しGILの隠された情報や、具体的なエピソードに触れてみましょう。

  • 一番印象に残っている対戦相手
  • レペゼンする福島県への思い
  • 家族について
  • 他のラッパーとの関わりについて

一番印象に残っている対戦相手

一番印象に残っている対戦相手としてR-指定を挙げています。UMBで2回あたり2回とも敗北。彼のスキルの高さを認め、よくも悪くも思い出深い試合だったと振り返っています。後ほど動画でも解説しますが、GILとR-指定は非常にハイレベルな試合を繰り広げていました。

レペゼンする福島県への思い

GILは福島県をレペゼンしていることに強いこだわりと誇りを持っているMCです。出身は郡山市ですが、福島全土を代表する気持ちで活動しています。

福島県といえばムートンや狐火、そして「小名浜」で有名な鬼の出身地で、激アツなHIPHOPシーンが展開されている地域です。彼らとの関係を築きつつ、今後どのように地元を上げていくのか注目が集まります。

また東日本大震災と福島原発事故の被災地であり、福島県は他の地域とはやや地元が違います。そういった意味でもGILがレペゼンして活動することには、大きな意味があるといえるでしょう。

家族について

母親と、2つうえの兄がいるとのこと。2018年の時点では、まだ母親と一緒に暮らしていたと語っています。兄はすでに結婚していて、東京で元気にやっているそうです。

父親はすでに他界しており、震災の年に亡くなったとのこと。ただし本人の語り口を見るに、地震や津波などが原因ではない様子。

ラッパー・GILのバトルについて

GILはMCバトルが強いことで有名。

音源は聞いたことなくても、MCバトルを見たことがある人は多いのではないでしょうか?

今回は彼のバトルスタイルなどについて解説します。

GILのバトルスタイル

GILのバトルスタイルは、いっさい流行り廃りに踊らされない、リアルな言葉しか言わない、そして渋くてイカしてるのが特徴です。長いライミングもしないし、華やかなフロウもありません。しかし言葉の内容をしっかりと理解し、硬派なラップで殴り合うのがGILのやり方

フロウはないと言いましたが、安易に早口フロウに逃げたりしないだけで、ビートアプローチは安定的。そしてライムを踏むときは独創性と硬さが両立していて実にキマっています。

言葉選びがストリート流かつソリッドで、強烈なパンチラインを打ち出すのも特徴。「うれし泣きにはまだ早ぇぞ!」など言葉が忘れられない人も多いのではないでしょうか?

ラッパー・GILのベストバウト

GILは2022年の時点で36歳。ラッパーとしてのキャリアは18年以上にもおよび、これまで数々のMCバトルの大会に出場しています。

ものすごくたくさんのバトル経験があるのですが、特に注目すべき以下3つのベストバウトを紹介しておきましょう。

  • UMB2014 準決勝 GIL VS R-指定
  • 戦極MCBATTLE第17章 決勝 GIL VS 呂布カルマ
  • ADRENALINE 2015年 GIL VS あっこゴリラ

それぞれについて詳しく解説するので、参考にしてください。

UMB2014 準決勝 GIL VS R-指定

「なぁ、結局そうだろ? 晋平太」

GILのバトルでは最も頻繁に再生されているであろうUMB2014準決勝。相手は3連覇まで2勝まで迫ったR-指定。彼の偉業達成のクライマックスに、GILは強敵として立ちはだかります。

前試合でR-指定は呂布カルマと対戦、例の疑惑の判定が問題となった一戦です。「お前が負けるところ見に来てんだ!」と言われて、危うく死にかけたところ、なんとか準決勝にたどり着いています。すでにR-指定のスタミナは尽きかけており、GILにとって大チャンスでした。

試合はGILの渋さが光り続ける展開に。「ここまできたら9sari Libraの話はいらない。俺とお前、それだけでやろう」と格好いいスタンスを見せつけます。さらにR-指定の「三連覇達成」を2小節以内に「オレは内面がヤベェ」とアンサーするなど、スキル面でもバチバチに競います。

さらに去年のUMB準決勝でのR-指定の小節ミスを引き合いに出し「お前がバースに入ってこなかったから気持ちよくやれているよ」などと毒の効いたことも。

しかし一戦目では決着がつかず、試合は延長戦へ。ここでも渋みある言葉を吐き続けますが…R-指定が底力を発揮。「爪痕残したい、KREVAを越したい!!!」などとブチかまされ、GILは惜しくも敗れました。しかしR-指定相手にバチバチやり合って、たいへん見応えのある試合だったといえます。

ちなみにR-指定は三連覇達成後、「胃潰瘍になりかけたし、これ以上は無理」としてUMBから退いています。GILとの死闘も、彼に相当なプレッシャーを与えていたでしょう。別にR-指定に苦しんでほしいわけではないのですが、そこまでギリギリの状態まで追い詰めたGILのスキルと強さは恐ろしいと感じました。


戦極MCBATTLE第17章 決勝 GIL VS 呂布カルマ

「うれし泣きにはまだ早ぇぞ!」

戦極MCBATTLE第17章では決勝進出。相手はいつものように、呂布カルマがあがってきました。この試合の呂布カルマはキレキレで、流石にかなり厳しい相手です。

実際試合のほうも厳しく、「福島ヤバイけどJAG-MEがかっこよかったお前はいなかった」とか、強烈なDISを食らっていました。さらに「俺はフィメールを倒してガキの首をへし折って、おっさんのお前には2度とマイク握らせない」などと言われ、相当エグいパンチラインを食らっています。

しかし

  • 「俺は今も病んでる街を上げてる(福島原発事故の被災地だから)」
  • 「ラップした分だけメディアに出て、アンタは言葉が薄くなっている」
  • 「(お前のラップのせいで福島が泣いていると言われて)うれし泣きにはまだ早ぇぞ!」

などと語り、呂布以上に重たい言葉を突き刺して快勝。切迫感のあるビートも相まって、GILの渋さとヤバさがはっきりと現れた試合でした。

この大会、GILは当時絶好調だったウジミツや智大、Lick-Gやmu-tonを倒し、挙げ句の果てには現役最強の呂布カルマと決勝戦で対峙。非常に厳しい組み合わせを突破してつかんだ優勝は、個人的にはとても価値高いものだと思います。


ADRENALINE 2015年 GIL VS あっこゴリラ

「このクソMother Fxxkerが!」

これも古い動画です。まだADRELALINEが小さなライブハウスで開催されていた頃の様子。本大会でGILは、当時かなり人気が高かったあっこゴリラと対戦。フィメールでギャグラップより、完全にイロモノだった彼女に対して、バチバチの現場上がりのGILがどのようにぶつかるのか注目されました。

結果は完全にGILの貫禄勝ち、それよりもめずらしく感情を露わにして、怒鳴りつけるような試合展開に。あっこゴリラが「あなたは角度によって印象が違う」だったり、「人生がどうのこうの」だったり、割と一貫性のないラップを披露してしまいました。

ここに対してGILは「今度は人生の話か、ふざけんなまったく説得力がねえ!」「ハナからお前の人生ぶつけてこいや!」と熱くカウンター。また「私はフィメールでも頑張っている」みたいなところをガッツリ拾って「自分から女を武器にする(同情を買う)のか、このクソMother Fxxkerが」と罵って、ひたすら一方的に殴りつけました。

別にあっこゴリラが下手だとかダサいとかいうつもりはひと言もありません。ただこの試合ではGILの誠実で真っ直ぐかつ硬派なスタンスが、彼女を圧倒的に上回っていました。これが殴り合いだとしたらあっこゴリラは血まみれです。

ラッパー・の音源について

あんまり注目することはないですが、GILは音源制作にもかなり力を入れています。

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まとめ

 

まだ高校生の若いMCから、30代後半のベテランまで、さまざまなラッパーが活躍するMCバトル。

そんな中GILは2012年あたりからずっと福島のエースとして活躍しています。

R-指定や呂布カルマなどとも死闘を演じ続け、シーンにおいてたしかな存在感を残しています。

2018年あたりはあまり見かけませんでしたが、最近では戦極や凱旋でも活躍するように。

また彼もDOTAMAやNAIKA MCと同じく、「UMB優勝に手が届きそうでなかなか届かない」というタイプの人物です。

特にR-指定には決勝進出を阻まれるなど、いろいろとハードラックな局面もありました。

今後はおそらく11年越し以上となるUMB優勝の悲願達成も期待されます。

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