「大麻は有害なものだ」という風に考えている人は、非常に多いことでしょう。
また、そのような風潮は、まだまだ世界中でまん延しています。
こと日本に関しては、大麻に対してかなり否定的な風潮があります。
しかし、大麻の持つ「害」については、一度冷静になって考え直す必要があります。
本記事では、大麻の持つ「害」について、詳しく解説します。
大麻に害はあるのか
結論から言えば、大麻には「害」があります。
しかしだからといって「大麻を摂取するのは、たいへん危険だ」と解釈するのは、論理的ではありません。
下記ではそう言える根拠について、詳しく分析します。
大麻の有害性について
有害性があると言っても、それはかなり低い水準です。
大麻の有害性については、
- 依存性が高い
- 中毒性が高い
- 離脱症状
- 反射神経が鈍麻する
- 免疫の低下
- 生殖能力の低下
- 発がん性
などが、頻繁に指摘されています。
しかし各種研究結果を参照する限りにおいては、ほとんど無視できるレベルの程度です。
ただし、有害性がないわけではありません。
重要なのは、「他の物質(煙草やアルコールなど)と比較して、特別大麻が危険ではない」ということ。
たとえば、大麻に「発がん性」があるのは事実です。
しかし、煙草やアルコール、塩蔵食品にも発がん性は存在します。
したがって「大麻は特別に危険だ」という認識(もしくは周知)は、事実に即してないと言えるわけです。
【参考】
“Cannabis less harmful than drinking, smoking: report Agence France-Presse”
未成年には有害
ただし、こと未成年者にはそれなりに有害であることがわかっています。
さまざま研究で、「未成年時に大麻を摂取すると、うつ病となるリスクが高まる」とされています。
また、未成年の大麻摂取は、脳機能に影響をおよぼすという指摘も。
具体的には、
- 論理的な思考能力
- 記憶力
- 学習機能
- 言語能力
などの発達を阻害してしまうのではないか、と考えられています。
いずれも社会生活を営むうえで、たいへん重要な機能、能力です。
(参考:麻薬・覚醒剤乱用防止センター)
大麻の使用に寛容であるカナダやオランダでも、未成年者の大麻摂取には、かなり警戒しています。
したがって未成年者が大麻を吸うというのは、大きなリスクがあると考えて問題はありません。
大麻の害は、どれほどのものなのか?
先ほども触れましたが、大麻にはある程度の有害性はあります。
特に依存性・致死率・副作用という点について、心配している人は多いでしょう。
その3点について、詳しく解説します。
依存性
まず、もっとも懸念されることの多い「依存性」について解説します。
結論から言うと、大麻の依存性は、かなり低い水準となっています。
大麻を摂取することで依存症になるというようなことは、まず考えられません。
アメリカ公衆衛生局の元長官、Jocelyn Elders氏によれば、「大麻には重大な依存性はない」とのことです。
アメリカ公衆衛生局は、アメリカ国内に大麻を流通させるか否かということに対し、強い影響力がある組織です。
そこの元トップである長官がこのように発言しているというのは、かなり信憑性が高いと言えるでしょう。
また、アメリカ精神医学会も、「大麻で身体依存が生じるという根拠はない」という見解を示しています。
というように、あらゆる学会や機関が、大麻の依存性に対して否定的な見解を示しています。
(参考:DSM-Ⅳ)
致死率
ときどき、「大麻には死亡リスクがある」というような指摘がなされます。
しかし、結論から言えば、大麻にはほとんど死亡リスクはありません。
たしかに大麻には、致死量も存在します。
しかし致死量を摂取するには、ものすごい量の大麻を摂取しなければいけません。
一日に大麻のジョイントを200本吸うだとか、そういったことがなければあり得ません。
副作用のリスク
結論から言えば、大麻には副作用のリスクがあります。
主な副作用としては、
- 吐き気
- 悪心
- やる気がなくなる
- 眠くなる
といったものが挙げられます。
ただしこれらの副作用は、特別強いものではありません。
タバコやアルコールにも共通して言われているものです。
したがって、やはり「大麻は特別に危険な薬物だ」という一般的な認識は、事実に即していないと考えるのがより自然なはずです。
ただし特殊なケースとして、大麻を吸って、かなり気分が悪くなることもあります。
これは、「バッドトリップ」という現象です。
いかに品質のよい大麻を吸ったとしても、体調や精神状態によっては、バッドトリップに入ってしまいます。
これも、一種の副作用として捉えられます。
ただしバッドトリップは、一過性のものにしか過ぎません。
たいていの場合、数時間程度で回復します。
大麻が特別大きな害を有しているわけではない
一度、大麻の有害性について、整理しておきましょう。
多くの人は、「大麻は特別危険だ」という風に感じているかもしれません。
また、少なくとも日本においては、そのような風潮が広まっています。
ただし先ほどから何度か触れているように、大麻の有害性は、他の物質と比べて飛び抜けて高いとは言えません。
たとえば「大麻には依存性という『害』がある」という指摘があります。
確かにそれは事実です。
しかし上記のとおり、大麻の依存性は、アルコールの1/100程度にとどまります。
また、「大麻を摂取すると、交通事故やトラブルの原因になる」という指摘もあります。
しかしこれも、大麻だけに限った話ではありません。
アルコールや安定剤に共通して言えることです。
このように、明らかに「大麻はだけが特別に危ない」ということを否定する事実はいくらでもあります。
立証されている大麻の危険性と、(一般的な感覚を持つ)人の認知には、大きな相違があると言えるでしょう。
大麻の歴史を見れば、害は少ないことが読み取れる
大麻に害が少ないということは、歴史によって証明されています。
古代ギリシアの歴史家である「ヘロドトス」は、著書「歴史」において、「西暦70年から、ローマでは大麻が医療薬として使われていた」としています。
日本でも、一部地域で医療薬と使われ、これはマラリア治療で効果があったとされて居ます(貝原益軒・「大和本草」による)。
というように、著名な歴史家や学者は、「大麻が医療薬として広く使われていた」というように語っています。
一方で、「大麻によって、重大な危機があった」という歴史的な背景は、ほとんど認められません。
ヘロドトスの時代、つまり人類史の出鼻から、大麻は害の少ないものであるとして認知され続けていたのです。
(未成年への有害性は例外として)有効な根拠なく「大麻は有害なものだ」と言われ始めたのは、ここ数十年の話です。
なぜ大麻には「害」があると叫ばれるのか?
ここまでのことを踏まえれば、大麻に大きな害はないということは、理解してもらえているはずです。
にもかかわらず、日本では「大麻は(特別に)有害だ」と叫ばれ、厳しく取り締まられています。
推測が含まれている部分もありますが、「大麻は有害だ」と言われる理由は、「利権を守るためだ」とも言われています。
たしかに大麻には有害性がありますが、それを補って余りあるメリットも持っています。
特に、医療現場で使われる「医療大麻」は、合法化されれば多くの疾患を治せるとされています。
しかし医療大麻は、今ある利権を崩壊させてしまいかねない存在です。
現在、さまざまな医薬品は、「利権」のために存在しています。
医薬品を使ってもらえるよう、他の有効な医薬品が使えないようにしているわけです。
医療大麻が導入されてしまうと、利権がらみの医薬品は不要になってしまいます。
つまり、利権が守れなくなるわけですね。
それを防ぐために、大麻を違法として、医療大麻が導入できないようにしています。
医療大麻の使用どころか、研究すら認められていません。
しかし、世間が「大麻に害がない」という認識を持っていると、「大麻を解禁しないのはおかしい」という世論が生まれます。
そのような世論が生まれると、利権は揺らいでしまうかもしれません。
だから、「大麻は有害だ」ということを喧伝して、世論を操っているというわけです。
本当に害が大きいのは、大麻取締法
「大麻が飛び抜けて有害である」という主張は、明らかに根拠を欠いているとわかったはずです。
となると、(逆説的に言えば)むしろ害が大きいのは、「大麻取締法」です。
厚生労働省には、「大麻乱用者による告白」というページを公開しています。
このページでは、大麻を使用して逮捕された人たちの体験談が並べられています。
いずれの体験談でも、「大麻でしか起こり得ない有害性で、重大な異変があった」ということを述べていません。
彼らが不幸になったのは、すべて「大麻取締法で逮捕された」ということが原因です。
大麻特有の効能によって、健康を害したというエピソードはありません。
「大麻乱用者による告白」について
ちなみに上記ページでは、(あくまで主観ですが)あたかも大麻が悪いものであるかのように誘導したい思惑が見え隠れします。
たとえば「交通事故を起こした」という体験が語られています。
雑に読むと、「あたかも大麻の作用が原因で交通事故を起こしてしまった」ように見えます。
しかしよくよく見ると、告白者は、交通事故を起こす直前に脱法ドラッグを摂取しているのです。
そして、交通事故の直接原因も、脱法ドラッグによる作用でした。
というように、このページは、大麻が悪く思えるようなトリックが仕掛けられているとも考えられます。
ここからも、大麻を危険なものであると演出したいという恣意が、見て取れるのではないしょうか?
まとめ
大麻には、たしかに有害性はあります。
特に未成年者が摂取した場合の有害性は、かなり懸念すべきものです。
しかし、大麻の有害性は、あまりにも過大評価されすぎています。
また、大麻だけが特別危険だという認知や評価は、事実に基づいているとは言えません。
大麻に考えられる有害性は、アルコールや煙草、安定剤などにも共通して言えることです。
分野によっては、これらのほうが有害であるという研究成果すら存在します。
つまり「大麻は、特別に危険な薬物だ」という認識は、事実と即していないと言えるでしょう。
今一度、大麻に対する評価を改める必要があるかもしれません。