- 「なんでラッパーは大麻を吸うんだろう?」
- 「今まで誰が逮捕されたんだろうか」
- 「大麻は合法化されるんだろうか?」
上記のように考えている人は多いでしょう。
ラッパーと大麻のつながりは切っても切れないもの。筆者もMCバトルに出たり、楽曲を作ったりしますが、周囲にはマリファナばっかりをやっている人がたくさん。
いったい彼らが何のために、逮捕リスクを負ってまで大麻を吸うのか、そしてそれを極にするのか、本記事で解説します。
ラッパーが大麻を吸うのが好き、当たり前の話。多い理由は5つ
正直なところ、多くのラッパーは大麻を吸っています。吸っていない人のほうが少ないでしょう。
そして彼らが大麻を吸うのは、環境や文化を考えれば当然です。5つの角度から理由を解説しましょう。
- HIPHOPが大麻ありきの文化である
- 創作活動に活かしたい
- 特別な体験が欲しい
- 周囲の影響
- 純粋に楽しい
それぞれについて詳しく解説するので、参考にしてください。
HIPHOPが大麻ありきの文化である
ラッパーが大麻を吸う理由として、そもそもHIP-HOPがマリファナありきの文化、という点が挙げられます。
HIP-HOPのはじまり1970年代までさかのぼります。発祥地はニューヨークの貧民街「サウス・ブロンクス」です。
当時のこの地区は地獄のような有様でした。汚い雑居ビルが並び、瓦礫とゴミが町中に溢れていました。
マフィアやギャングが支配し、ドラッグやマリファナが蔓延。放火や窃盗、殺人が毎日のように起こり、また白人による黒人迫害が苛烈でした。
そんなサウス・ブロンクスで、社会への怒りや嘆きを発散したり、あるいは仲間との絆を確かめ合ったり、己の美的感覚を昇華させるために生まれたのがHIP-HOPです。
ラッパーは「クソみたいな環境から成り上がる」「レペゼンを大切にする」と、よく語ります。これサウス・ブロンクスに住んでいた人たちのメンタリティが継承されたものでしょう。
HIP-HOPはラップ・グラフィティ・DJプレイ・ダンスの4要素で構成されています。それが米国、そして日本にまで波及したとき、同時に大麻文化も持ち込まれました。
つまりHIP-HOPを愛するラッパーが大麻を吸うのは、歴史から考えればとても自然なこと。たまたま日本という国が大麻に対して厳しいので、ラッパーたちは法的なリスクを背負わざるを得ない状態に追い込まれています。
創作活動に活かしたい
創作活動に活かしたいから、大麻を吸うラッパーも大勢います。これはイメージしやすいでしょう。
大麻を吸うとハイになったり、美的感覚が一瞬研ぎ澄まされたりします。その効果を得て、自身の楽曲やリリックに活かそうと考えているわけです。
HIP-HOPに限らず、ありとあらゆるアーティストが大麻やドラッグを使って創作活動に励んできました。
ラッパーとして活動する筆者の知り合いにも、「大麻を吸わないとリリックが出てこない」と述べています。
ラップミュージックの世界は競争が厳しいもので、相当なクオリティのものがなければ注目されません。だからこそ(自分のスキルを磨くことは前提にありつつも)、大麻を得てインスピレーションを引き出すのは、ラッパーの常套手段と言えるでしょう。
ちなみにラッパーのみならず、バンドマンや画家、アニメーターなど創作にかかわる人々の多くは、大麻を吸っていると考えて問題ありません。
ウォルト・ディズニーにいたっては、作品には「どう考えてもLSDを使っていないと出てこない表現」があったりします。
特別な体験が欲しい
特別な体験がしたいから、大麻を吸うラッパーもいます。これもイメージしやすいでしょう。
大麻を吸うと、以下のような体験が得られます。
- ものすごくハイになれる
- 見えないはずのものが見える
- 違う場所にいる感覚を覚える
- 何を食べても美味しく感じる
- すべてが愛おしくなる
- 何を見ても笑えてしまうetc.
これはシンプルに楽しいうえ、先ほど触れた創作活動にも活かされるでしょう。ラッパーにとって大麻でぶっ飛んだ世界で過ごすことには大きな意味があるのです。
周囲の影響
もちろん周囲の影響も関係しているでしょう。ラッパーとしてライブハウスやクラブを出入りしていると絶対に、例外なく大麻と出会う瞬間がやってきます。
プッシャー(売人)と出会うこともあれば、大麻を勧めてくる先輩に巡りあうケースも。また、同級生のラッパーがいつの間にか吸い始めていることもあるでしょう。
ラッパーの活動は、大麻と密接に関わるもの。その中において、「まだ大麻を吸ったことがない」「永遠に吸うつもりはない」と考えている人もいます。
しかしタバコや酒をなし崩し的に始める人が多いように、大麻を吸い始めるラッパーは多いものです。
純粋に楽しい
純粋に楽しいから、大麻を吸っているラッパーもいます。ハイに慣れたり、音楽がよりよく聞こえたりするのは、彼らの生活を彩る上で重要な要素です。
仲間と一緒にジョイントを回したり、ゆっくりしたりするのも、彼らの人生では大切な瞬間。
そういった楽しさを生み出してくれるからこそ、彼らは大麻を手放さない側面もあります。
大麻が原因で捕まったラッパー
大麻が原因で捕まったラッパーは数多く存在します。特にビッグネームは影響力を考慮してか逮捕されやすく、その度に衝撃を与えました。
特に近年は稀に見るHIP-HOPブーム。それを牽制するかのようなタイミングで逮捕されるケースが散見されます。
主だった逮捕者として以下が挙げられるでしょう。
- 漢 a.k.a GAMI
- D.O
- ¥ellow Bucks
- Amateras
- UZI
- YOU THE ROCK★
- mol53(RAWAXXX)
- 鬼
それぞれが逮捕に至った経緯などを、ここでは解説します。
漢 a.k.a GAMI
少しでもHIPHOPが好きなら、誰でも知っているであろう漢 a.k.a GAMI。彼は2020年7月、大麻を所持したことで逮捕されています。
その後は覚醒剤の所持でも再逮捕されるなど、ショッキングなニュースが続きました。
漢 a.k.a GAMIは9SARI GROUPの運営やMSCの代表として活動。現在のHIPHOPブームの立役者とも言える存在です。
大麻のほうは「イメージどおり」でしたが、しかし覚醒剤の所持については落胆する声が聞かれました。
D.O(元練マザファッカー)
D.Oは二度逮捕されています。最初は2009年2月、コカイン所持と使用で逮捕。
さらに2018年は大麻とコカインの所持で再逮捕。ここでは執行猶予を免れず服役していました。
D.Oに関しては「悪党の歌」に代表されるように、アンダーグラウンドの顔とも言える存在。彼が大麻やコカインをやるのは、ある意味で当然のことだと言えるでしょう。
¥ellow Bucks
近年、若者から絶大な支持を集める¥ellow Buck。2021年11月に大麻取締法で逮捕され、同年12月には不起訴処分となりました。
彼もガチガチのHIPHOPPERであり、大麻を吸っていた、あるいはそれが逮捕されたとて、「そりゃそうだよな」といったところです。
不起訴で済んだ理由ははっきりとしませんが、証拠不十分もしくは所持量が少ない、初犯である点が挙げられるでしょう。
2022年からは何ら問題なく活動を続けています。
Amateras
MCバトルで「金持ちキャラ」として人気を集めるAmateras。
2018年、慶應義塾大学在学中に大麻所持で逮捕されました。カンボジア出身の女性とともに50グラムを所持。明らかに販売を目的とした量でした。
どうやらホテルに泊まっていたとき、ルームサービスを届けたホテルマンが「変な匂いがする」ということで通報した様子。
それが原因で警察に踏み込まれ、逮捕されたものだと思われます。
ちなみに慶應義塾大学からは退学処分を言い渡されました。現在はMCバトルなどで活躍しています。
UZI
フリースタイルダンジョンなどの司会者として活躍していたUZI。2018年に大麻を1200回分所持していたとして逮捕されていました。
明らかに個人で使用するレベルを逸脱しており、販売目的だと見られています。当時はフリースタイルダンジョンが放送中であり、彼の出演シーンがカットされるなど大きな騒ぎとなりました。
ちなみにその後Zeebraの不倫報道が。司会スタンドに立っていた二人がスキャンダルを起こすという、なかなか厳しい局面もありました。
YOU THE ROCK★
日本におけるHIP HOP初期から活躍するYOU THE ROCK★。しかし彼は二度、大麻で逮捕された経緯があります。
2005年10月に大麻所持で逮捕。懲役8ヶ月、執行猶予3年の判決を受けています。二度目は2010年、やはり所持の罪状で捕まりました。
その後は懲役8ヶ月の実刑判決を受けて服役しています。
G-PLANTS、DELTA9KID
今や知らない人はいない舐達麻。うちG-PLANTSとDELTA9KIDが2021年に大麻所持で逮捕されました。その後は保釈金を積んだか、あるいは証拠不十分で身柄を解放されているから。
ちなみにBAD SAI KUSHが逮捕されてなかったのはおそらく所持を担当していないから。
舐達麻は三人組ですが、全員所有するとこういう自体になったとき、ユニット自体が身動きを取れなくなります。だからBAD SAI KUSHだけは所持しないようにしていると予測できます。
関連記事:【随時更新】大麻や薬物所持で逮捕された主な歌手一覧
ラッパーと大麻の深いつながり
ラッパーが大麻を吸うのは、カルチャーの特性を考えれば当たり前のことだと解説しました。しかし単に「マリファナが好き」なだけでは片付かないほど、両者は深くつながっています。
ここで最近流行りのHIP-HOPの、本来的な姿を理解しましょう。
売り物としての大麻
ラッパーは大麻を吸う以前に、「売り物として扱う」というケースがあります。いわゆるプッシャーです。
日本で大麻を手に入れるのは簡単ではありません。しかし彼らはリスクを背負った大麻販売で利益を集めています。
日本では所持と栽培が禁止されているので、万が一バレたら逮捕は免れません。だからこそ、大麻を高値で売れる立場にあります。
ちなみに以下のラッパーは、自身がプッシャーであったことを公にしています。もしくは、今も大麻を回しているのかも知れません。
- 孫GONG
- D.O
- SEEDA
最近、MCバトルで人気を集めているmaijiもプッシャーであることを思わせる発言をしています。
上記動画で「大麻が欲しければ俺にTELしろ」といった趣旨のバースキックがありました。
関連記事:舐達麻逮捕! 大麻栽培してた? バダサイはなぜ捕まらない?
まだ大麻は合法化されそうにない
ラッパーたちは「さっさと大麻を合法化しろ」と叫んでいます。残念ながらそれが実現するのは、相当先の話でしょう。
この点は呂布カルマがうまいことまとめています。要するに大麻が合法化するうえで3つのハードルがある、という話です。
- 大麻が合法化されると医薬品の代わりになり、製薬会社などの利権が損なわれる
- 大麻を吸うことで日本全体での生産性が落ちる
- 解禁しなくても国が困らない
呂布カルマいわくこの状況を打破するには「みんなで大麻を流行らせること」。取り締まりきれないレベルで浸透させ、「もう合法化するしかない」という状態に追いやるしないと主張します。
そうでなければ、国から見たとき、解禁して利権や生産をおびやかす意味はありません。
しかし大麻を流行らすのは非常に難しいミッション。合法化への道のりはまだまだ遠いと言えるでしょう。
「大麻を吸うべきではない」という批判について
ラッパーが大麻で逮捕されるたび、「そんなもの吸うな」という批判の声が上がります。そして「合法化すべきか否か」と議論されることも。
この批判は、(かつて間違っていたと考えていたものの)個人的には間違ったものではないと思います。
大麻を吸うとやはり酔っ払うので、労働に影響が出て国全体でのパフォーマンスは落ちるでしょう。またタバコと同じく発がん性などもあり、たしかにリスクはあるでしょう。
ただし冷静に考えて欲しいのは、諸外国が大麻を解禁したり、医療大麻として導入したりしている事実です。もちろん乱用すればよいわけではありませんが、大麻を有効に活用しているケースは世界中に数知れず存在します。
これらのモデルケースを追従しないまま、一律に「健康被害があるから」と完全に規制するのは無理があるでしょう。
なぜラッパーは簡単に大麻や薬物で捕まらないのか
ラッパーは自身の楽曲やMCバトルにおいて、自身が「大麻を吸っている」と明らかにわかる発言をしています。
「違法大麻を所持している」と語っています。ここまでダイレクトなのは珍しいですが、他のラッパーも似たようなものです。
「大麻を吸っている」と公言しても逮捕されないのは、それだけでは逮捕の理由にならないから。
日本には大麻取締法が施行されていて、これは大麻の所持と栽培を禁じています。もしガサが入って大麻の苗が見つかったり、職質されてポケットから大麻が出てくればアウトです。
しかし曲の中で大麻を所持しているといくら言い張っても、今まさに持っているわけでも、育てているわけでもありません。警察も数多くいるラッパーの一挙手一投足に振り回されるわけにもいかず、逮捕には動かないわけです。
ただし影響力のあるラッパーが大麻を所持したり栽培したりしていると、マークされることも。実際に上記の動画で紹介した舐達麻の場合、DELT9KID(メガネの人)とG-PLANT(口髭の人)が逮捕されています。
まとめ:ラッパーが大麻を吸うのは当然の話
「なぜラッパーは大麻が大好きなのか」「本当に吸っているのか」と思う人は多いでしょう。
元を正せばHIP-HOPは、大麻とともに成長した文化。そしてたいていのラッパーは吸っています。
UMBだろうが高ラだろうが、大麻ジャンキーだらけと見て間違いはありません。
R-指定や般若、DOTAMAなどクリーンなラッパーもいます。しかし彼らのほうがHIP-HOPシーンでは少数派。本来ラッパーは大麻を吸っていて、むしろスタンダードです。
彼らと同じように「大麻は合法化しないのか」と考えている人も多いでしょう。結論からいうと、まだ現実的ではありません。
大麻を解禁すると利権を失う連中が大勢いるうえ、生産性が落ちる問題も解決していないのです。
もし日本中で大麻が大流行すれば、「そこまで吸いたいなら、仕方ない、解禁してあげるよ」という話にもなり得ますが、別に流行っているわけでもありません。
しばらくはラッパーたちも、法の目をかいくぐりながら大麻を吸うことになりそうです。
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